short


□Congratulations on graduation!
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『ーーーーーー以上でスライドショー上映を終わります。
三年生の皆さん、三年間本当にお疲れ様でした。
先輩方の輝かしい未来を、後輩一同お祈り申し上げます』







『いやー楽しかったなスライドショー!
真ちゃんと俺のラブラブツーショットも案外多かったし、一年のときの試合の写真とか懐かしかったねー!
あの映像、俺にも焼いてくんねーかなー』

『…そうだな』


スライドショー上映が終わり、三年生は卒業式の練習を終えて帰路についていた。

緑間と高尾はいつもの様にチャリとリアカーを繋げた通称チャリアカーと呼ばれる乗り物で帰り道を進んでいる。
もちろん運転手は高尾だ。

このチャリアカーに乗るのも今日で終わりか、とリアカーに乗る緑間は思っていた。

最初は乗り心地の悪さにイラついたものだったが、いつの間にか揺れや感触が心地良い物に変わっていて、雨や雪で使えない日が恨めしく思える程になり、高尾といる時間と同じくらい特別なものになっていた。


『高尾』

『ん?なぁに、真ちゃん』

『…これに乗るのも今日で終わりなのだな』

『そだねー、ってどしたの急に?
さみしくなっちゃったのだよ的な?』

『真似をするな!!!
…明日が高校生も最後だと…チャリアカーには乗れないのだと思うと…胸がぎゅっとするのだよ』

『ぶふぉっ!!!!
胸がぎゅっとするのだよ…って真ちゃん可愛すぎ!!!!!wwwww』

『わっ、笑うな馬鹿!!!』

『ごめっ、ふはっ!!』


突然笑い出した高尾にむっと顔を顰める緑間。
いつまでも純粋で、ツンデレなお姫様に高尾は これだからうちの真ちゃんは なんて心の中で呟いた。
いつも隣にいて、友人から恋仲になって、する事もしたしそれなりに緑間の事を理解したつもりだ。
それでも緑間は、いつも高尾の予想の斜め上を行く。
左かと思えば奥に行き、上かと思えば前に行く。
そんなところが高尾には新鮮で、面白くて、愛おしいのだ。


『はー…真ちゃんがそんなにチャリアカー気に入っててくれてたなんて、俺うれしいな』

笑ったせいで止まっていたチャリアカーを再びゆっくりと進ませる。
昔に比べてずいぶん足が鍛えられたような気がする。

それでも十分に重いのだけれど。


『…最初はさ、これ漕ぐのすごい嫌だったんだ。
自分よりウェイトもタッパもあるやつを荷台に乗っけて漕ぐなんてありえねー!って。
じゃんけんも一回も勝てなかったしな』

『それはお前が人事を尽くしていないからなのだよ』

『ははっ!そうかもな!
でも、いつの間にかこれを漕ぐ時間が俺にとって特別な時間になってた。
雨や雪が降った日は画面の向こうの天気予報士にグチグチ言ってみたりするくらい!

ほら、真ちゃん最初の方はずっといずらそうにしてたじゃん?
でもさ、ある時なんか静かだなと思って後ろみたら真ちゃんすげぇ綺麗な顔で寝ててさぁ。
あぁ、こいつもやっと気に入ってもらえたか、って嬉しかったんだ』



キキッ、と、チャリのブレーキ音が響く。
いつの間に着いたのだろうか、チャリアカーは緑間の家の前に来ていた。

『真ちゃん、俺らさ、大学別々のところにいくからきっと会える時間は少なくなると思う。
俺は一人暮らしするからバイトもいれるつもりだしね』

『そう、なのか…』

『うん…。
でもね、忘れないで。
ずっと会えなくたって、俺の一番は真ちゃんだから。
真ちゃんが寂しいとき、悲しいとき、チャリアカーが恋しくなったとき。
俺の事思い出してよ。
そんで電話でもメールでもなんでもして!
俺飛んで行くからさ!

ね、だから、そんな顔すんなよ緑間』

知らず知らずのうちに俯き、今にも泣き出しそうな表情をしていた緑間の白い頬を、高尾はそっと包み込んで上を向かせた。
翡翠の目玉をじっと見つめて、高尾は精一杯の気持ちを込めて少し早めの祝辞を口にした。

『真ちゃん…卒業おめでとう』

『馬鹿、卒業式は明日なのだよ…』

『誰よりも早く言いたかったんだ。
卒業おめでとう真ちゃ』

真ちゃん、と最後まで口にする事は叶わなかった。
突然、視界が緑に染まって、唇にら柔らかい、暖かいものが触れていたからだ。
緑間の、ふんわりと甘い唇。

味わう間もなくパッと離れてしまったそれに目を見開いた高尾。
そんな高尾に向けて、緑間は今までみた事のないくらい綺麗な笑顔で言った。


『卒業、おめでとう。高尾』



end.


今日卒業式ですね!
卒業される皆様おめでとうございます!!

壮行式ってみなさんの学校でも行うんですかね…
ちなみに壮行式とは、全校お別れ会みたいなものです。

で、昨日その壮行式でスライドショーみてたときに、バスケ部の写真がすごくカッコ良くて。
人がかっこいいとかじゃなくて、ポーズとか表情とか。
それをみて『コレダァァァァア』と叫びました。心の中で。

というわけで久々の小説更新でございました!

卒業される皆様、本当におめでとうございます!

Congratulations on graduation!


来年卒業の葉山玲斗
3/1(金)
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