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□誰のモノなのですか
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『もしもし』

『緑間っち!こんばんはっす!』

約束通り、黄瀬は夕方頃に電話を寄越した。
まぁアイツが俺との約束を破ることはないけれど。

『あの手紙…見たッスか?』

『まだ見ていない。
お前から電話が来たらその時に見ようと思っていた。
まぁ、お前はどうせこの手紙を見たのだろうがな?』

『やっぱり緑間っち鋭いッスねぇ…いつもは鈍感なのに』

『お、俺は鈍感じゃないのだよ!』

『なーに言ってるんスか?
俺の必死のアピールにも気付かなかったくせに?』

『それは三年前の話だろう!』

『はいはい分かったッスよww
で、手紙は今あるんスか?』

『あるのだよ。
…正直見たくはないが、見なければいけないと思ってしまう』

『緑間っち…』

そう言いながら片手で封の中身を取り出す。
中にはシンプルな便箋が一枚入っていて、そこには手本のような整った字が綴られていた。

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真太郎へ

やぁ久しぶりだね。
お前と別れてから三年、まだ一度も会えていないが寂しくはないか?
さしずめ涼太がいればいい、なんて思っているのだろうけれど。

だが、お前は僕の物だ。
僕以外と居る未来を選ぶことはありえない。
なぜなら僕は今までもこれからも真太郎だけを愛しているからだ。
愛しい愛しい僕の真太郎。
涼太の為にも早く僕の元へ戻っておいで。

近いうちに連絡する。

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『…意味が分からないのだよ』

伊達に副主将兼恋人をやっていたわけじゃない。
言い回しがめんどくさい赤司の言葉が他のキセキには伝わらない事があっても俺にはきちんと伝わっていた。
だが今回はどうだ。
アイツの言わんとすることが全く分からない。
初めてのことだった。

『何が言いたいんだアイツは』

『緑間っちにわかんないんなら俺に分かるはず無いッスわ〜

でもムカつく事だけは分かるッスよ』

『黄瀬…』

『緑間っち、緑間っちはずっと俺のとこにいてくれるんスよね…』

『あたりまえだろう馬鹿め。
もしお前とじゃなくても赤司など死んでもお断りなのだよ』

『…ふふ、やっぱ緑間っち大好きッス!』

『フン、当然なのだよ』



『黄瀬君、そろそろいい?』

電話の向こうから聞こえた声から察するに、黄瀬は今から撮影なのだろうか。
そんな時間のない中でも連絡を取ってくれる事に少しは感謝してやろう。

『あ、はいッス!
ごめん緑間っち、そろそろいかないと』

『あぁ、行ってこい』

『ごめんなさいッス、撮影終わったらメールするね!』

『わかった』



電話を切る、
と同時に来客を告げるチャイムが鳴った。


ピンポーーーン

『はい、今出ます』


ガチャリ…


『やぁ真太郎、三年ぶりだね』



『赤司…ッ』


何度も何度も苦しめられ、未だに抜けない恐怖の記憶を植え付けた張本人が、赤い髪の彼が、大嫌いなアイツが、そこにいた。


(黄瀬……ッ!!!)


next.


長いので一回ここで切ります!

この後はすっきりしない話になると思うので…はい。


赤点フィーバーの葉山玲斗。
(12月16日(日))
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