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□誰のモノなのですか
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緑間っちの家を出て、誰もいない道を歩いていた。
オレは嘘を吐くのは上手い方だと思うのだが、緑間っちは変なところで鋭い。
だから隠せているつもりでも大体の嘘は気付かれてしまうのだ。
もしかしたら今回も気付かれたかもしれない。
本当はあの封の中身を見てしまった事に。
気になって気になって、仕方なくて、つい見てしまったのだ。
赤司っちはこれを渡すとき、『絶対中身は見るなよ』と言っていたが、おそらくオレがこれを見ることはお見通しだったのだろう。
ご丁寧にオレ宛の手紙が入っていた。
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やあ涼太。
お前が京都に来ると聞いて即興で書いたものだから少々字が汚いが勘弁してほしい。
お前のことだから見るなと言っても見るだろうと思ってな。
どうだい、真太郎とは上手くやっているか?
まぁ器用なお前のことだからそれなりにはやれているだろう。
だが、そんな生温い日々もそのうち終わるよ。
真太郎は絶対僕の元に返ってくる。
僕より正しいものなど存在しない。僕が絶対だ。
いずれ別れることになるのだから今のうちに思う存分戯れるといいよ。
また京都に来るのを待っている。
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美しすぎる字体で綴られたその手紙をポケットの中でぐしゃぐしゃに丸めてやった。
頭が熱くなって怒りの感情が沸々と沸き上がってくる。
緑間っちがアンタのところに返る?
僕が正しい?絶対?
その自信はどこから来るのだろうか?
本当、どこまでも好きになれない。
『アンタなんかに緑間っちはぜってぇ渡さねぇッスよ…』
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