悪魔屋敷

□4.甘く儚く。
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「ライオォ?」

「あぁ、今行く。」


頼んだ。と一言置き去りにして…
ライオさんは行ってしまった


「なァ…いいのォ?」


待ちきれないとばかりに顔を覗かせるトラテス


「一口…少しだけだ。いいな?」

「オレの印…付けてもイイんだよなァ?」

「あぁ、つけとけ。取られないようにな」


ライオさんが室内にトラテスを入れた…
嬉しそうに、褐色の悪魔が私に近寄ってくる…

私はただベッドの上でふるえているだけ…


「よォ…」


暗い部屋のなかで、その紫色の瞳が光る。


「最初会った時から…早く食いたかった♪」


歪みない笑顔に更に顔が引き吊る…


「トラテス、早くしろ。スラポを早く寝かせてやりたい…」

「はいはいィ…んじゃァ」


そういって、彼は怯える私を自分の方に引き寄せた。


「きゃ!?」


思わず出てくる悲鳴に、トラテスの目が光った。
そのまま、初めて会った時の様に首に顔を埋めて…


「ひぅ…ッ!!」


今度はあの時とは違って首筋を舐められた…

明らかに恐怖を感じる。


「いただきまァす♪」


嬉しそうな声が脳内に響いたと思ったら、その瞬間に首筋から電気の様な痛みが走った。


「ぁああッ!!」


痛みは一瞬で終わり、私はベッドに解放されてぐったりと倒れ込んだ…


「どうだった?」

「予想どォり、超うまい♪」


自分の唇を舐めるトラテスの顔がうっすらと見えた気がするが、私はその場で意識を失った…


+++++*+++++


目が覚めると、私の身体はふわふわの布団に包まれていた…

なんだか気だるい身体を起こす…
そして、もう見慣れてきたベルを鳴らすと…


=リィン…


小さいベルを鳴らせば二人のうちのどちらかがやってくる…


=コンコン…


「呼んだか?」


どうやらライオさんの様だ。
小さくお辞儀をして部屋に入ってくるライオさんを見て、少しだけ安心した。


「あ、あの…」


暖かい飲み物をって言おうとしてなんだか視界が眩んで、私は再びベッドに倒れ込んだ…


「ス、スラポ!?」


ライオさんが慌てて私の様子を見る…


「昨日…トラテスに一口やったからな…まだ身体が弱ってる様だ、無理はするな。」


あぁ…そうだった…
私は昨日…トラテスに食べられたんだった…


「一口だが…慣れるまでは貧血や精気不足が続くと思うからな…」


貧血…
そうか…私、血を吸われたのか…


――我が儘な吸血鬼…ですかね?――


そうか…彼がそうだったのか。


「まぁ、大丈夫だ。」


そういって差し出されたのはホットチョコ…
甘い香りに落ち着く…


「今日はゆっくり休め…」


一礼をすると、部屋を出ていった。

暖かいホットチョコをのみ、再びベッドに横たわる…

すると、すぐに眠気に襲われた…


=コンコン…


あれ…
誰だろう…?

まだうまく動けない…


「だれ…?」


そっとたずねる…



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