悪魔屋敷

□3.カウントダウン
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――コンコン。


ドアを叩く音がした。
そして、


「俺だ、呼んだか?」


声がした、これは…確かライオさんの声だ。
まだ、あまり話したことがないので緊張しながらも口を開く…


「は、はい!」


きぃ…と軋む音と共にドアが開き、予想通りライオさんが入ってきた。


「もうこんな時間だ…どうした?眠れないのか?」


少し馬鹿にするように笑いながら近付いてくる。

正直ムカつく。


「そ、そんなんじゃない!」


恥ずかしくて少し顔が赤くなる。
ライオさんが私のすぐ隣までくる頃には、初めて会ったときのような無表情な顔をしていた。

わからないヒトだ…


「で、どうした?」


素っ気なく聞かれると、私は小さくため息をついた。


「ドレス…着替えたいの。」


開けたクローゼットを指して言うと、ライオさんは一瞬驚いた様な顔をして…そのまま…


「…くくっ」


……へ?


「くく…くはッ、ははは!!あっはっは!!」


わ、わらいだした!?
ちょっと、失礼じゃないの!?

そんな私の心情を察したのか、お腹に手をあてなから私の頭をポンポンと軽く叩く…


「すまん、あまりにも唐突だったものだからな…可愛くてついつい」


笑い涙を拭いながらも、頭を撫でる。
私も軽く頬を膨らましながらそのまま撫でられる…


「…ふぅ…で、どれに着替えたいんだ?」


首を傾げながら、落ち着いたライオさんは尋ねる。
その問いかけに、私はクローゼットの中にある綺麗な羽の様な模様の入ったスカイブルーのドレスを指す。


「ほぅ…自分に似合う色がよくわかってるじゃないか」


相変わらず私をバカにするような口調でそのドレスを手に取ると、クローゼットの扉に引っ掻ける。


「脱げるか?いや、脱げないから呼んだのか…」


私の様子をみて悟ったのか、しょうがないなとつぶやき背中のリボンをほどく。コルセットのリボンも外してしまえばあとは簡単。ずり落ちないように押さえる場所を指示しながら丁寧に脱がせてくれた。

案外優しいんだ…


「よし、きつくないか?」


そんな調子で着替えが済むと、髪型までセットしてくれた。


「うん、ありがとう♪」


嬉しくなってくるっと回るとスカートがふわっと広がる…

こんな服…きたことなかった。
大天使様やその周りの上層階級の天使達はパーティの度にこんなドレスを着ていた気がする…
なんだか仲間入りした気分だ♪


「楽しそうだな。」


くくっと喉で笑いながらライオさんが問いかけてくる。


「うん、こんな服着たことないから…嬉しいんだ♪」


そのままソファに腰かける。


「お前は…上流階級じゃなかったのか?」


向かえのソファに座り、ライオさんが聞いてきた。


「ううん、私は一般天使。ただの天使…」


そう、なんでもないただの天使…


「………ほぅ」


なんだか意味ありげな顔で見つめてくるライオさん…

な、なにかなぁ…


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