悪魔屋敷
□3.カウントダウン
3ページ/6ページ
「お前の精気は上流階級並みなんだがなぁ…俺の検討違いか?」
え…?
「最初見た時から気になってはいたが…お前の精気は澄んでいて綺麗だ。」
え、えぇ!?
なになになに!?
えっと…口説かれてる?←
「俺達悪魔にとっちゃお前の精気はご馳走に近い…」
違ったようだ!←
怪しく口元で笑いながら、ずいっと顔を近付けられた。
思わずぎゅっと目をつむる。
――こわい…!
身体は強ばってカタカタとふるえだす。
「安心しろ、俺は食わねぇよ。」
ポン、と頭の上に手が乗せられて撫でられる。恐る恐る顔を上げると、とても優しそうな表情で笑うライオさんの顔が見えた…
この人…さっきも思ったけど、すごく優しいヒトなんだ…
「それに、まだ許可が降りていない。」
そうだ、さっきからキャロルさんも言っていた…
「あの…」
「ん、なんだ?」
少し不安だが…
聞くだけ聞いてみよう。
「今、私はまだお客様なんですよね?」
先程キャロルさんが言っていたことだ。
私はまだお客様だと…
「あぁ、ライ様の許可が降りるまで…お前はこの屋敷に招かれた客人ということになる。」
なるほど…
でも、そうしたら…
「許可が降りたら…私は、わたしは…」
言葉に詰まる…
怖くて言えない…!
「………。」
ライオさんは黙って私の言葉を待っている…
「…に…贄に、なっちゃうんだよね?」
自分の末路くらい…知っててもいいかもしれない。
これからはまともな生活ができないのだ。
「そうだな、ライ様の許可が降りたら…お前は俺達の贄になる。」
だよね…そうなんだよね。
私はそのために、ここにきたんだから…
「贄は俺達の食料。贄がいなければ天界とのバランスも取れない…俺達は、無駄に被害を出したくない…すなわち戦争を避けたい。」
なんだろう…
ライオさんがなにか難しい事を言い出した…
「お前は贄、天界との架け橋だ。手荒な真似はなるべくしたくない…」
………ぇ?
「お前は贄になることを過剰に怖がっているようだが…今と変わらないぞ?」
えっと…なんだって?
「贄になったからといって、お前の立場、扱いは変わらない。変わるのは1つ…」
ここでライオさんは一呼吸置いて…
「お前はアイツらの食い物になる。という事だ」
寒気がした…
食い物…食料…私は、悪魔の食料。
天界から差し出された生け贄…
「俺は別にお前を必要としていない。お前が必要なのはこの屋敷の中で4人」
伸ばした指で4を示して見せる
あ、あれ?さっきと計算がちがう…
「わかりやすいのはあの二人…か?」
「ト、トラテスと…シャストンさん…?」
先程の事で身体が震える…
「怖かったか?」
「…うん。」
だろうな。と頭を撫でてくれるライオさん…やっぱり優しい。
「大丈夫だ、アイツはあぁ見えて可愛い奴だ…」
うーん…よくわからないや…
「あとはフォルト。まぁ、アイツはフツーの食事もするが…ただ抱き枕が欲しいだけだ。」
「だ、抱き枕?」
「あぁ、たまに贄を抱き枕にしている。やはり寝心地が違うらしいな…」
抱き枕…が贄の仕事…?
だからさっきの計算が合わなかったのか…
た、怠惰の悪魔さんだからなのかなぁ…やっぱり何かがおかしい気がするよ…
「え…あと1人は?」
私が会ったのはあとケイト君だけ…
でも、彼はそうじゃない気がする…
じゃあ…
……だれ?
「想像できないのか?」
コクリと頷く私を見て、彼は苦笑した。
だって、ライ様は食べないのだろうし…
ライオさんは小さくため息をつきながら言った
.