悪魔屋敷

□8.天界の架け橋
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フォルトさんと一緒に、図書室で天使の属性についての書物を読み漁っていた。
沢山の種類があるので読むのはそこそこ大変だ…


「天使の属性がたくさんあるのは知ってたけど…ありすぎだよぅ…」

「そうじゃのぅ…大まかな属性があり…それから更に細分化される…奥深い。」


天使の属性は、主に希望、勇気、知性、愛、武道、平和、芸術…などなど多彩な属性があり、更に強弱、混合などが細かく分類される。


「とりあえず、大きな属性を知っておればなんとかなるであろう?」

「うーん…そうだね…」


色々読みすぎてわけがわからなーい!


「とりあえず、今日はここまでにしてはどうじゃ?頭がパンクしてしまうぞ」

「う〜ん…そうだね。またこんどにする…」


スラポは持っていた本を閉じる。


=コンコン…


扉の向こうから声がする。


「スラポさん。晩餐のお時間です」


キャロルの声だ…
先程のことがあったので戸惑うスラポ


「大丈夫じゃ。これはケイトではない」


フォルトさんに言われて恐る恐る扉を開ける…


「気分転換は出来ましたか?さぁ、参りましょう?」


扉を開けたさきにいたのはやはり、キャロルさんだった。
ほっとする。


「うん、ありがとう。図書室、たくさん本があって楽しかったよ♪」

「それはよかった…私も、たまに魔導書を読みに図書室に行きますよ。本は読んでいて飽きません…奥が深いです。」


キャロルさんと廊下を歩く…
ケイトくんのことは言わないでおいた。このお兄さんが叱ったら怖そうだ…
たどり着いた先は通称"食堂"と呼ばれる場所だ。悪魔たち7人の座れるテーブルがあり、客人が来たときにもここを使って晩餐をするらしい。


「さぁ、驚かないでくださいね?」


目の前の扉が開き、キャロルさんが「どうぞ」と手を広げ室内へと促す。

その手の先…


「……ぇ…?」


見慣れたオレンジの髪が目に入った。


「姉さん…!」

「ネオン…!?」


信じられなかった!
もう二度と会えないであろう弟がその場にいたのだ!

必死に駆け寄って…飛び付かんばかりの勢いで抱き付いた。


「姉さん…会いたかった…!」

「ネオン…ネオン…!!わたしもだよっ!」


ここに来てからの3日間が、1ヶ月ほどに感じた…
信じられないことがたくさん起きて、知らないことをたくさん知った。


「姉さん…?」

「なに?ネオン。」

「人前でこれは…しかも初対面のヒト達だと余計に恥ずかしいかな?」


ここで、ようやく状況を把握。
ネオンの向かい側にはなんとライ様が!


「ご、ごめんなさい!!わたし、嬉しくって、つい…」

「あはは、いいよ…俺も、姉さんに会えて嬉しかった。こんな…触れられるだなんて思ってもいなかった…」


本当に嬉しそうな顔…よかった。


「スラポ、そろそろいいだろう…せっかくライオとキャロルが作った料理が冷めてしまう。」

「あ 、すみませんライ様…」

「かまわん。感動の再開は邪魔できんからな」


キャロルさんがネオンのすぐそばの椅子を引いてくれた。
そこに腰かければ、ライオさんが美味しそうなお料理を持ってきてくれた。

久しぶりのネオンとの食事…嬉しかった。


「ねぇ、なんでここに来れたの?」

「あぁ…俺が、どうしても姉さんに会いたくて魔王殿に手紙を書いたんだ。そうしたら…」

「客人は久しぶりだ。今夜にでも、晩餐に来ないか?と返事を返した。」

「それで…この晩餐…」


今朝、届いたネオンからの手紙に…ライはすぐさま返事を書いた。ネオンもそれにすぐ応答した。
天界から魔界にいくとなると厄介な検問があるが、そこはキャロルやライオ…そしてライの力で用意に抜け穴を作ることができた。


「ネオン殿にはここに繋がる鍵を渡しておいた…いつでも歓迎しよう」

「本当ですか、ライ様!?」

「あぁ…一言無いと晩餐ほどのものは用意できんがな…」

「構いません。俺は姉さんに会えれば十分です…!こんなご馳走まで用意していただけるだなんて思いもしませんでした。」


3人の会話は尽きない…

ここに1人、天界の壁を越えて魔界へと降り立った天使が誕生した。
ネオンは悪魔達の客人となったのだった。


「ごちそうさまでした…デザートも美味しかったです。ここのお料理はお二方が…?」


食べ終わり、ネオンが壁際のライオとライの後ろに控えているキャロルにたずねる。


「えぇ、ここの料理は私とライオが作らせていただいています」

「そうだな、食べるやつが少ないから」

「ライ様やスラポさん…それに、あと2人ほどですかねぇ?ここには通常の食物を主食としない悪魔が多いですからね。」


二人の会話から、ネオンはもうただの客人ではない事を想像させる…


「その、残りの悪魔達が…姉さんを必要とする悪魔ということですか?」

「ご名答、その通りだ」


料理を平らげたライが口を開く。


「今のところ…スラポはトラテスに気に入られているようだな。奴は見方につけておいて損はない。もちろん…ここの悪魔達全員、見方につける勢いでいかないと生き延びれんぞ?」


くくく…と意地悪く笑う魔王。


「まぁ、トラテスに目を付けられたならばそう簡単にダメにはならん。あいつは好物は手元においておく性分だ…」


ライの言葉に苦笑するスラポ。
それを見てネオンはスラポの手を握る


「…姉さん、俺…また来るから!何かあったら教えて?姉さんが抗えない分…俺が抗うから。」

「ね、ネオン!?」


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