悪魔屋敷
□4.甘く儚く。
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=コンコン…
怖い怖い怖い怖い!!
まだ、私は食べられたくない…!!
そんな考えなど気にも止めず…ノックの後に恐怖を逆撫でる声がした。
「あのさァ…まだ起きてるゥ?」
この独特のイントネーションには聞き覚えがある。
私の恐怖対象No.2のトラテスだ…
何て事だ…
よりによってあのヒトだなんて…
「どうする?」
ライオさんが小声で聞いてくる…
私の答えは1つ。
全力で首を横に振った…
「そうか…まぁ、疲れてるだろうしな」
ふふっと笑えばライオさんがドアに向かう…
そして、電気を消してからドアを開ける…
「…ァ、ってライオォ?」
なんだか間の抜けた声がする…
「スラポは、もう疲れたから寝るそうだ。また明日にしてくれないか?」
さすがライオさん!!
なんか…凄く頼りになる…!
「…ダメなのォ?」
「こんなに早くから無理はさせられない。大切な贄だからな…」
言い方は少し悪いかもだけど…
私の事を思ってくれてるんだね♪
「じゃァ、ここでまってるゥ…オレが最初に食うのォ。」
「…お前、が?」
「おう。アイツの香り…最高だった!」
な、なんだろう…
なんか嫌な言葉がちらほら聞こえる気がする…
「待つのか?お前が…?」
「おゥ!!」
なんだろう…
ライオさんの声には戸惑いが感じられる…
「……仕方ない、少し待ってろ」
溜め息をつきながらもライオさんが戻ってくる。
そして私にこう告げた…
「やはりお前は運がいい」
告げられたのは意味のわからない言葉…
そして、
「一口目、トラテスにやってくれないか?」
えっと…それって…
トラテスに食べられろってこと?
「や…やだ…」
もちろんそう答える。
しかし、ライオさんだって引き下がらない…
「お前にとっていい話なんだ。俺が保障する。」
そんなこと言われたって…
や、やだもん…
すると私に顔を近付けて小声で言う…
「トラテスを味方に付けることは、お前の身の安全に繋がる…」
……え?
「どういう…こと?」
意味が、わからない…
「追々わかる、だから…頼む。」
ライオさんに頼まれちゃった…
なんで?
なんで…トラテスに食べられることが私の安全に繋がるの…?
わからないよ…
「わたし…たべられちゃうの?」
「……あぁ。」
優しいライオさんの声が胸に刺さる…
「大丈夫だ、すぐ止めさせる。」
だから…と、私の頭を撫でてくれる…
「でも…」
カタカタと震え出す身体…
怖いよぅ…
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