悪魔屋敷
□3.カウントダウン
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ディナーを食べ終わり、再びキャロルさんと共に自分へと与えられた部屋に戻る。
「ディナーも美味しかった…あれもキャロルさんが作ったの?」
私はソファーに座りながらパジャマを用意している彼に尋ねた。
「え、あ…あれはライオが作りました。」
なるほど…
キャロルさんは今日ずっと私と一緒にいた。確かに、作るヒマはなかったはずだ。
「ライオさんもお料理上手なんだね。」
あの外見からは想像できない…
「この屋敷の食事は私とライオの二人で作っているのです。」
「みんなの分…全部?」
「はい♪…とはいっても、実際に食べるのは4人程なので苦労はしていませんしね。」
「え、そうなの?」
こんなにいるのに…
なんであんなにおいしいお料理を食べないのだろう…?
「悪魔は主食が違います。料理を主食としない悪魔がいるからですよ」
あぁ…そうだった。
ここは悪魔の巣だった…
きっと、残りの3人は…私を食べるのだろう。
寒気しかしない…
「ふふ…怖くなっちゃいましたか?」
からかうように笑うキャロルさん…
怖いにきまってるのに…
「まだ、ライ様の許可が下りてません。貴女はまだ大切なお客様ですよ」
「お客さま…?」
許可が下りるまではまだ私は客人扱いらしい…
となると、いままでの豪華なもてなしも理解できる…許可が下りた途端に、私はただの"贄"へと成り下がる…
「では、私はしばらく外しますので…ご用がありましたら、なんなりとお申し付け下さいね?」
そういって、チラリと呼び出し用のベルを見る。客人の場合は、これくらいの持て成しは普通だろう…
そのまま、部屋を出ていくキャロルさんの背中を眺めた…
「お客さま…か。」
なんだか急に虚しくなって、何とかこの暗い気を晴らそうと部屋を見回す…
広くはない部屋だが、家具は充実している。
ソファー、テーブル、イスにタンス。そして、ベッドとその隣にあるクローゼット…
そうだ、確かクローゼットの中にある服を好きなように着ていいと聞いていた。
早速、その趣のある豪華なクローゼットを開ける…
「わぁ…♪」
中には色とりどりのドレスが沢山…形も様々な物がある。
一つ一つ手にとって、好きな色のドレスを眺めてみる…
どうせ、客人でいられるのもあと少しなのだ。こんな豪華なドレスを着れる機会なんてもうないはず…
いまのうちに存分に楽しもう。
迷いながらも1つを選ぶ…
さぁ、着てみよう…!
「あ…あれ?」
よくよく考えれば、ドレスなんて着たことないから脱ぎ方がわからない…
ど、どうしよう…
悩んでいると、視界にあるものが映った。
――チリィン…
考えるよりも先に、身体が勝手に呼び出しのベルを鳴らしていた。
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