13

□今を継ぐ手
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見上げる。




クリスタルでできたコクーンの







底を。











崩壊したコクーン



崩壊した、安全で、安定した生活






壊れてしまったそれらの下では、早くも再建の活動が始まっていて



きっとその中心では、スノウの野郎が指揮を取っている。








人間ってのは強いモンだな─…






遠く、眺めて思う。







多くが、犠牲になった




軍人が


騎兵隊が


何も知らない住人が




隣人や、友人や、大切な人をなくしたやつらが、大勢いるはずで





それでも、生きようとしている






これが、お前らが救った世界かよ─…







見上げる




自ら犠牲になった二人の、その結晶を







こんなに大きな命を、使命を



あんなガキ二人だけで背負って








そりゃあ、立派だろうさ




でも




そんなモン、ガキが背負うことじゃねえ








「水臭いねェ」



からかうように言って、笑う




笑おうとする。










何も、できなかった




大の大人が






ガキどもの方が、よっぽど色々考えていて







考えて、それを自分たちだけで背負って







情けなさと、やるせなさと後悔で






どうしようもない






ガキ二人に、全部背負わせたまま





笑えるわけがない









『笑って』






声が、聞こえた





『笑って、サッズ』






『これでいいんだよ』







『おっさんたちには、まだやることがあるだろ?』







優しげに響く、少女たちの声








「とうちゃん?」




突然の声に、驚いて振り向く




「ドッジ…!」



いつの間にか、すぐ傍までドッジが来ていた。





「ドッジ…!危ねぇからこっちにはくるなって…」





「とうちゃん、大丈夫?」








「え……?」




幼い瞳が、心配そうにこちらを伺う




「とうちゃん、どっか痛いの?」






そうやって尋ねる眼は、今にも泣き出しそうで





自分が、こんな幼い息子にまで心配させていたと気付いた






『笑って、サッズ』







花のように、明るい声






手を延ばす






「何でもねぇ…何でもねぇよ、ドッジ……」





そう言って息子を抱きしめて、笑う



きっと、いびつな笑顔で。








笑おう




それが、残された者の使命なら。







笑おう




それが、あいつらの望みなら。







あいつらが、いつか目覚めてガキらしく笑える日まで






笑おう




きっと、それが生きていくということだから










end




13クリアしてすぐに作った話でした。

ヲルバさん達はコクーン組に対して水臭いことこの上ないと思います。

ばかやろうが…!!


ここまでありがとうございましたー!


2010.03.26

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