BC
□呼び続ける、あなたを
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滅多にかけることのないダイヤル
けれど、かけた時はいつだって、コール五回以内に取ってくれた几帳面な姉。
プルルルル
コールが十回を過ぎた。
姉さん…!
プルルルル
鳴り止まないコールに焦りは募る。
プルルルル
『イリーナ、どうしたの?』
『かけてくれるなんて珍しいわね』
あの、嬉しそうに答える声。
前みたいに答えてよ…!
プルルルル
姉さん─…!
プルルルル
プルルルル
プルルルル
ガチャッ
コールが 止んだ
「姉さん!」
「ただ今、電話に出ることができません。発信音の後に─……」
あぁ、姉さん
本当なんだね
あの真面目な姉さんが
電話に出ないなんて
機械的な音声に、冷静さが戻ってくる。
姉さん……
ピ───…
鳴り響く発信音
切ろうとして、
手を止める。
再び携帯を耳にあて、話し出す。
「姉さん?
この前は助けてくれてありがとう。
おかげで
今も元気だよ。
姉さん
また、電話するね」
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