Shorters

□彩り
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ちらちらと



ちらちらと、視界に入る







何の色だったかな、と


そんな疑問ばかりが浮かぶ





あの兵士の服の青は、何の色だったか



あのポールの冷たい銀の色は


あのバーの看板の明るい赤は





その答えに気付いては


自分の弱さに嫌気がさす





あぁ、あいつの生意気な瞳の色だ




あいつがしていたピアスの色だ


あいつの使っていた武器の色だ







ちらちらと、



ちらちらと




忘れたいと願っているのに



ちらちらと、視界に映る







あの、重い雲の暗いグレーは?


あいつと歩いた街の色だ



あの、街の明かりのやさしい白は?


あいつと見た雪の色だ



あの、テールライトの燃える朱は?



あいつと最期に行った任務の空の色だ




あれは




あの、ネオンの輝く眩しい緑は?








あぁ






あいつらを消した光の色だ









ちらちらと、



ちらちらと




ちらちらと、視界に映る




ちらちらと、鮮やかすぎて





見つけてしまう



無意識に、探してしまう




忘れさせてくれと願っているのに


消してしまえたらと願っているのに





鮮やかすぎる色と記憶が、


今もこの目から離れなくて







ちらちらと、



ちらちらと





煩わしくて、うっとうしくて






あいつらが消えたこのセカイは



こんなにも、色で溢れて






消えない




消せない





目の端に、捕らえてしまう






忘れなければと言い聞かせるのに







ちらちらと


ちらちらと




消えない




消えない





色だけ残して消えたあいつらの




面影だけが今も消えない






end



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