Shorters

□変わりゆく、別れ行く
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エアリスが笑っていた。




あなたではない、別のヒトの隣で



あなたといた時と同じ笑顔で笑っていた。









胸のあたりが何故だか騒いだ。



渦巻いている、この感情はなんだろう






哀しみか


怒りか



それとも失望なのか。








『ザックスなら、どう思うのかな…』






もう応えるはずのないあなたを思った。







想い続けてほしいと願うだろうか




待ち続けてくれと嘆くだろうか





あなたと交わした約束を、忘れてしまったのかと怒るだろうか。









エアリスが笑っていた。




彼だけではない、たくさんの仲間の側で





あなたといた時とは違う笑顔で笑っていた。









あなたのことだ



自分のことを泣いて待つより




笑っていてほしいと願うのだろう。








暗いスラムの片隅で、ひとりあなたを待ち続けていた彼女は




今、太陽の下で、多くの仲間と笑っていた。





すべてを優しく包むような



すべてを明るく照らすような





あなたのような笑顔で笑っていた。








「シスネ」





声の先には、こちらを振り返って待つ同僚の姿があった。







「うん、今行く」







胸に渦巻く感情は




寂しさと安堵が入り混じったものに変わっていた。







今一度彼女へと目を移す。





そこには、変わらずまぶしい笑顔があった。









あなたがここに生きた記憶は





約束を忘れて進む彼女に





神羅を離れて進む私に






たしかに残って息づいてるよ。













「さよなら」






どうか笑顔を絶やさぬように。






end





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