侍7よろず話
□キュウゾウの趣向
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キュウゾウの趣向2
「‥‥おはぎ‥‥」
おもむろに振り向くキュウゾウに、ヘイハチが手にしたおはぎを高く上げて見せる。
キュウゾウの喉がごくりと鳴った。
そして無言のままヘイハチたちのほうに歩み寄ってきた。
「さあどうぞお召し上がりください。」
たまによく理解できないキュウゾウの行動パターンに戸惑いつつも、カツシロウは手にした盆を差し出した。
「‥‥かたじけない。」
すると‥‥キュウゾウはにゅーっと両手を伸ばし、右手と左手に一つずつおはぎを掴んだ。
「!‥‥」
《おっ‥二刀流ですか!?》
キュウゾウ以外の3人が顔を見合わせていると‥‥さらに驚くことが‥‥。
顔を見合わせていた僅かの間に、手にしたばかりのキュウゾウのおはぎが、二つとも無くなっていた。
「キュウゾウ殿!もう食ったんですかい!!?」
食べたことは間違いないらしく口の周りにあんこがこびりついていた。
ただ‥‥二つのおはぎ瞬時に食べ終わるという早業に一同度胆を抜かれた。
《そうか!サムライたる者、急襲などいついかなる時にも備えられるよう‥‥瞬時に食べることを身に付けられて居られるのだな。さすがキュウゾウ殿。》
先日のキュウゾウの働きを目にして以来、キュウゾウの一挙一動を見つめてきたカツシロウは感嘆した。
だが‥‥