dream■long_Croco vs Dofla_T

□似非秘書BW勤務日報-冬眠編-
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「連れて来たわ。」



社長室でクロコダイルと対面した女は、入るとすぐに一礼をして顔を上げた。


カチっと音がするくらいぶつかった視線は、臆することのない怜悧な眼差しを捉えた。





「…!!」




クロコダイルは、これまでの人生で感じたことのない、背中に電流が走るような衝撃を受けた。



確かに凛とした美人だが、美女なら腐るほど見てきた。



説明がつかないが、この女を何としても自分のものにしたい、という欲望が沸々と湧き上がる。




これが運命というやつではないか等と柄にもないことすら考えてしまった。




内心の動揺を誤魔化すように視線を一度反らすと、普段よりも冷徹な声で命令した。




「名を名乗れ。」







「名無しさんでごぜえます。」






「…あ?」




クロコダイルは滅多にしないようなぽかんとした表情をしたが、名無しさんは至って生真面目な顔だ。




ロビンは笑いを堪えるような表情で説明した。



「…彼女、故郷のワノ国で、一時期祖父母の田舎で育てられたらしいの。

これが敬語だって教えられたのが…それみたい。


敬語でなければ普通に話すわ。」




…接客に出せないというのは、そういうことか。



そうでなくても何だか色々台無しな気がしたので、クロコダイルは思わずこう口走った。




「敬語は今後一切使わなくていい。」









「うはっマジで!!あー良かった!!

窮屈で死ぬかと思った…!


さっすが社長、太っ腹ー!!」



クロコダイルは滅多に見開かない目を丸くしたが、名無しさんは至って不真面目な顔だ。




「…いいのかしら?」



ロビンはくすくす笑いながら、再度採用の意を確認する。



「…。

ああ。


部屋に案内してやれ。」




「よろしく!素敵なロビン姐さん!」



名無しさんは意外にもとても可愛らしい無邪気な顔でロビンに笑いかけた。



ロビンは一瞬驚いたように立ち止まったが、にっこりと笑い返した。



「ええ、よろしくね名無しさん。」



「それから…、



よろしくね、クロコダイル!」



振り返った笑顔に、またこれまで一度も感じたことのない動悸を覚える。





(…厄介なことになったぜ。)
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