dream■short_T

□中二病HEROES
1ページ/1ページ



「今日こそ名無しさんを取り返しに来たぜ…!」



ザッ、

と靴音を鳴らし宣戦布告するは、ユースタス・"キャプテン"・キッド。




「いや、私は元々こっちの団員なんですが。」



対峙するのは名無しさんが所属するハートの海賊団船長、トラファルガー・ロー。




「フッ…望むところだ。」




「いや台詞違うだろ。


それじゃお譲りしちゃってるだろ。」




「これでも食らいやがれ…!!」




「展開急過ぎるし…!?


てかアンタ飛び道具だっけ?!
むしろ引き寄せるほうじゃ…」



と突っ込む間にサクッと名無しさんの額に命中。




「名無しさん…!!


クッ…


てンめェよくも名無しさんを…!!」



「イヤやったのはアンタ…」



「名無しさん!!
返事をしろ…っ


聞こえるか、名無しさんーーー!!!!」



名無しさんを抱き抱え、耳元で叫ぶロー。




「見ての通り意識失って無いし、鼓膜破る気か…!!」



「クソ…っ、こんなに出血してやがる…


名無しさん、俺がいくらでも血を分けてやる…!!」



「血液型違うよね?ホントに医者か!?」  



続いてキッドも駆け寄り、名無しさんを揺さぶる。




「しっかりしろ、目を開けろ、名無しさんっ…!!」



「今、ガッツリ目ぇ合ってますよね?
お前がしっかりしろよ。


むしろそろそろ瞳孔が開きそうなんですが…」



「フッ…



お前には負けたぜ。


名無しさんは一旦預ける。」



「えっ?!


今何か負けた要素あった?!」




「…だが、1ヶ月後にまた迎えに来る…


それまで名無しさんに傷一つ付けてみろ…!」



「いや、何その謎のお預け期間。


とりあえず、今負ってるこの致命傷を治療しろよ…!」



「…フン、わかってらァ。


名無しさんが負った心の傷…


癒えるまでは俺が…護る。」



「心の傷じゃないよねぇー?


ねぇ肉眼で見えるよねぇー?この夥しい出血。」



「…




頼んだぞ。」




ザシュッ、

と靴音を鳴らし、振り返らず夕日を背に去り行くロー。




「…行くぜ、名無しさん。



俺の背中に付いて来い。」




バサッ、

とコートを翻し、勝利の美酒に酔い痴れ帰還するキッド。




「頼む…



頼むから命だけは…

命だけは助けてくれ…!!」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ