dream■short_T
□七武海は中尉がお好き
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「政府主催のパーティーなんぞに、七武海の、しかもよりによって何故あのドフラミンゴとクロコダイルが出席と言ってきたのかと思えば…。」
センゴクは、屈強な男ばかりの海軍本部廊下においてもひときわ目立つ対照的な色合いの二人と、彼らに囲まれたじろいでいる女性士官に目を遣り、ため息をついた。
「すまんな、名無しさん中尉…。」
ドフラミンゴ及びクロコダイルが、あるときから1人の女性中尉にひどく執心し、足繁く海軍本部に通うようになったというのは有名な話。
何か問題を起こすのではないかと危ぶまれていたが、彼女を間に立てれば危険な行為はしないとわかった為、都度駆り出されているのだった。
「よう、名無しさん。今夜のエスコートをしに来たぜ。
ドレスもお前の部屋に運ばせといたからよ、それ着てすぐ俺んとこに来いよ。」
フッフッフ、と笑いながら名無しさんに舐め回すような視線を向けるドフラミンゴ。
「フン、品性の欠片も無ぇてめェが、何がエスコートだ。
名無しさん、俺もドレスを運ばせてるが、どちらが俺が選んだほうかは一目瞭然のはずだ。
着替えたらこちらへ来い。」
さも自分が選ばれて当然という俺様ぶりを発揮するクロコダイル。
名無しさんは、何とか二人に着替えてきますとだけ伝えると、逃げるように自室に戻った。
「…はぁ。
何だか、いつにも増して重圧が…。
…ってほんと、ドレスが2着届いてる!
どっちも凄く豪華…。私に似合うかなぁ。」
鮮やかな赤絹の、身体の線が綺麗に出るようにデザインされたセクシーなドレス。
こちらはドフラミンゴだろう。
名無しさんの誕生石をあしらったネックレスもついていたが、誕生日を教えたことなど無いのに、わざわざ調べあげたに違いない。
高級感のあるびろうどの、貴族の淑女のような雰囲気の出る漆黒のドレス。
こちらがクロコダイルだろう。
真紅の薔薇の花束に、品のある斜め字で名無しさんの容姿を賛辞した詩を記したカードが添えられている。
「…どっちも、意外と気障なんだよなぁ。」
顔を赤らめながら溜め息をつく。
お固い海軍とはいえ、名無しさんの整った容姿と裏表の無い性格に惹かれ、言い寄る青年も少なくはない。
ただ、体育会系の不器用者ばかりなので、正直、こんなアプローチは満更でもないしドキドキもする。
「…どっちを着るか、選ばなきゃいけないんだよね…。」
これが、単に衣服の好みの問題では済まないことは明らか。
「でも、私…、心はもう決まってるんだよね。
今日は、はっきりさせなきゃ。」
これまで、幾度となく熱烈な求愛を受けてきたが、職務上、無下にしない程度にしか接することができなかった。
でも、本当はその度に胸が高鳴り、どんどん惹かれていくのを止められなかった。
「…これを着て、あの人のところに行こう。」
あなたが、手にとったのは?
赤絹のドレス→P、2
黒びろうどのドレス→P、3