dream■short_T
□メラメラバトリンピック
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「今日こそ決着付けてやるぜ!」
「望むところだよい。」
「かかって来ーーーい!!」
「…。」
「……。」
「…はいっ?」
今日も、モビー・ディック号甲板では長男vs末っ子対決が幕を切ろうとしていた。
これは、エース入団直後くらいに白ひげ海賊団の末娘となった名無しさんを巡る男同士の争いである。
そして、名無しさんがふたりの炎に負けないほど燃えながら乱入してくる、というのも恒例になっていた。
「名無しさんが勝った場合どうなるんだ…?」
「万が一にも有り得無ぇから考える必要無ぇよい。」
「ちょっ…!ひど!
あたしだって日々鍛えてるし!!
知ってるんだからね、マルコとエースが何か賭けてんの!
決闘するくらいいいものならあたしだって欲しいーーー!!」
エースとマルコは、顔を見合わせて溜め息をついた。
二人が何を賭けて争っているのかは皆の知れ渡るところとなっていたが、知らぬは本人ばかりなりという状態。
白ひげが面白がって許しているのを良いことに、サッチを中心に大規模な賭博の対象にすらなっていた。
「…なら、名無しさんが勝ったら貞操を守れるってことでいいよい。」
「まァ、確かに結果的にそうなるよな。」
「はっ?テーソー?
何それどんなご褒美?」
「そんなことも知らねぇようなガキが、俺らに挑むなんざ100年早ぇんだよい。」
「でも名無しさん、マルコから見たらガキでも俺よりは年上なのにな。
単にもの知らずの恥ずかしい大人だよな。」
「は、腹立つ…!!
サッチに聞いてくるから覚えてろ!!」
ザコキャラ三下のような台詞を吐いて名無しさんが勢い良くモビー内に踵を返すと、マルコがフンと鼻を鳴らしてペロリと上唇を舐めた。
「…さぁて、そろそろ闘るか
…よいっ!!」
蒼い炎を身体に纏い、速攻の蹴りを繰り出すマルコ。
「…っ、くらう、かっ!」
カウンターで紅い炎に包まれた拳を振るうエース。
いつもながら見応えのある闘いに、白ひげ海賊団の面々も酒を飲みながら盛り上がり、それが最高潮に達しようとした頃。
「待てぇぇえええゼッッタイ負けないから混ぜろぉぉぉおおお!!!!」
真っ青かつ物凄い形相で再度乱入してきた名無しさんに、エースとマルコは舌打ちして一時休戦した。
「…ほんとにサッチに聞いてきやがった。
てかアイツ、あれだけ決着付くまで名無しさんにはバラすなって言っといたのによ。」
「よし、サッチんとこ行くぞい。」
「っておい、あたしの存在無視?!」
掴みかかろうとする名無しさんをぺいっと放り投げ、二人は肩を並べて船内に足を向けた。
「ちょっと、仮にも獲得商品なんだったら大事に扱いなさいよー!!」
尚も無視され、虚しく空を掻く手をパタリと力無く落とした名無しさんは、歯を剥き出して大笑いしているギャラリーを半泣きで睨みつけた。
喧嘩のあとは、二人仲良くサッチをボコる。
そんな、本当は仲睦まじい兄弟です。