dream■mid_Dofla_modern parody
□ドンキホーテ・ファミリー月見宴
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「んーーーー、ヴェルゴさんの料理ホント最高ーっ!」
「そうか。それは作った甲斐があるな。」
「フッフッフッ、名無しさん、お前は花より団子だな。」
「花ってか月でしょ、いやいや月には団子でしょー」
「それも作ってある。」
「ええーっ?!
何という完璧なお膳立て!」
名無しさんは感嘆の声を上げながらも、忙しく箸を往来させていた。
本日は、ドンキホーテ・ファミリー月見宴と称した宴会である。
悪徳組織の癖にイベント好きな集団は、オーナーの数ある別荘のひとつ、趣のある和風の縁側で月見を楽しんでいた。
相変わらずの良オカンぶりを発揮し、ヴェルゴは漆塗りの重箱に、京のおばんざい風の和食を準備していた。
「名無しさん、食べてばっかりじゃなくて月も見なさいよ、綺麗よ。」
モネに笑いながら手招きされ、名無しさんはベビー5やバッファローのもとへ移動した。
ラオGの趣味を反映させたという枯山水の庭園は、完璧に計算されように見事に、月が池に映っている。
「いやぁ、美女を侍らして月見。
風流ですな。」
名無しさんはベビー5とモネの間に座り、満悦そうに日本酒を飲んでいる。
「オッサンかお前は。」
「オッサンに言われたくないねー。」
「…あ?
誰のことだ?」
眉間皺を寄せるアラフォーの金髪サングラス。
「名無しさん、飲み過ぎだすやん。」
ペース良くお猪口を空けていく名無しさん、バッファローが警告するが、ドフラミンゴは肩を竦める。
「まァ、明日は休みで皆ここに泊まるんだ、多少ハメを外しても問題ねぇだろ。」
「そゆことーっ!
ほんといい月だねぇー。
あー幸せっ!」
美味い酒に料理、そして気持ちの良い秋の夜の空気に酔いが早まったのか、名無しさんは庭を臨む縁側にへろりと横たわった。
「おい、名無しさん。」
「んー?
いやいや酔ってないよー?
でもなんだか起きれなーい。」
「ったく、仕方ねぇな…。
部屋まで運んでやれ、ベラミー。」
「えっ…?!
俺がッスか?!」
指されて目を丸くするベラミー、周囲も一瞬宴会モードが一瞬ピタリと停止した。
これまで、名無しさんに少しでも触れ、いや寧ろ近づいたり親し過ぎる会話を交わしただけでも、目を光らせてきたドフラミンゴ。
それが、あろうことか酩酊状態を抱き上げて部屋へ連れて行けというのだ。
「んお?!
なんか浮遊したっ!」
「…じゃあ、サッと置いてきますんで…。」
「こらぁー私はモノじゃないぞぉー!」
酔っぱらいの喚きは無視されるが、忠犬は主人の命令ながらもチラチラ上目で様子を伺いながら従った。
サングラスに隠されたドフラミンゴの表情はわからず、皆一様に顔を見合わせる。
そのとき、ヴェルゴだけが可笑しそうにこっそり笑んだのを誰も気が付かなかった。
「んー…、
喉乾いた…。」
真夜中、一人で使用するには無駄に広い、そして高価そうな禅風の掛け軸が床の間にかかった部屋で目が覚めた。
記憶を失うほどは飲んでいない、覚えているのはベラミーに此処へ運ばれ眠りに落ちたこと。
「…最近、何かドフラミンゴさん変かも。」
恋人になり、ますます独占欲に拍車がかかっていた。
セクハラまがいの言動も然りであったのだが、どういう訳か段々とそれが無くなってきたのだ。
「まぁ…、
平和でいいこと…かな。」
大事にされている扱いは変わっていない。
けれどもそれはもしかしたら、ファミリーに対する情と同じ類のものではないか。
最初は若い女が新鮮だったかもしれないが、やはり恋愛対象になるのは年齢に見合う大人の女性だと思いはじめたのではないか―
「…そんなことより水、水。」
名無しさんは、自分の気持ちを誤魔化すように勢い良く立ち上がった。
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