dream■mid_Croco_trip

□secret birthday
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「クロコダイル、おかえり!

そして誕生日おめでとう!!」


「………。」



クロコダイルの誕生日、9月5日の夜。


その日には来てほしいと事前にお願いしていた通り、出現したのを待ち構えて歓声を上げる。

残業もせず、ほぼ夕刻に近い時間に帰宅していた。



「…祝われて喜ぶような歳でもねェがな。」


予想通り、たいしたリアクションも見せないクロコダイルに構わず、私ははしゃいで続けた。


「さあさあ、準備して豪華ディナーに行くよ!

予約してるから急いで!」


グイグイと腕を引っ張る私を、クロコダイルはじっと見下ろして動かない。



「……何?」


「ちったァ学習能力がついたか。」


何のことかわからず首を傾げたが、口角を上げた顔とわしゃっと撫でてきた大きな掌で、やっと意図を汲めた。


クロコダイルは興味無いよね、と思うと自分の願望を抑える私が、そうしなかったことに対するそれなりの褒め言葉らしい。


ちょっと柄にもなく乙女らしい嬉しさが湧いて、笑みを返す。




「あっ、ちょっとストップストップ待って!!」


クロコダイルが着替えのために衣服を脱いだのを見て、私は割り込みに入った。


「あ?

何だ、別にてめェを今すぐどうこうしようって訳じゃねェぜ?」


半裸の状態でニヤリと艶笑され、まんまと耳を赤くしてしまったのが何とも悔しい。


「っ、だ、誰がそんな意味で…!

もう、違うの!

…これ。」


咳払いをし、体制を立て直すと、私は徐に滑らかな手触りのそれを差し出した。


「…ほう。

こいつァ仕立ても生地もかなりのものだな。」


目を細めて濃いワインレッドのシルクシャツを検分する姿に、安堵と喜びが込み上げる。

普段は殆ど黒、偶にブルーやグリーンがメインカラーのクロコダイル。

だけどきっと、この極上のワインのような上品な色も似合うと直感した。


「今日はこれを着て出るか。

合うスーツを選ぶ、待ってろ。」


ありがとう、という言葉がなくても、満足してくれたことがわかって、私もまた満足げにその姿を見守った。



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