☆ARS☆

□守らせて
1ページ/9ページ

〈椎梛side〉




母「じゃあ行ってくるわ」

翔「行ってらっしゃいませ」



いいわよ…もう慣れっこ。


「私も仕事で今日から数週間は家に戻れそうにないから櫻井、色々と頼んだわよ?」ですって。



翔「お嬢様、そこにいらっしゃっ…どうなさいました?」

椎梛「何でもない」

翔「左様で御座いますか…」


櫻井も気付いてるんでしょう?


これだけあからさまな反応をすれば気付いて当然だわ。


ポーカーフェイス気取るのも疲れちゃった。

ポーカーフェイスでさえ見破る櫻井なんだから気付いて当たり前。


とは言え、櫻井は私の心に必要以上に、況してや土足でなんて踏み込んではこない。


それは櫻井なりの優しさなのかも知れない。


でも、もし私に救いの手を伸べてくれるならば、私は傷を見て見ぬ振りをされるよりは触れてくれた方がまだマシ。


何て言葉をかければいいのか分からないんだと思う。


でも、別に無理矢理痛みに耐える私に「少し我慢して下さいね?」って傷口に薬を塗ってほしい、と言ってる訳じゃない。

そこまでは望んでいない。


上手く言葉では言い表せないけど…兎に角見て見ぬ振りをされるのは嫌なの。


椎梛「今日は独りで行くわ。帰りは…お願いしようかしら」

櫻井「畏まりました」



気分屋でごめんね?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ