☆ARS☆
□守らせて
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〈椎梛side〉
母「じゃあ行ってくるわ」
翔「行ってらっしゃいませ」
いいわよ…もう慣れっこ。
「私も仕事で今日から数週間は家に戻れそうにないから櫻井、色々と頼んだわよ?」ですって。
翔「お嬢様、そこにいらっしゃっ…どうなさいました?」
椎梛「何でもない」
翔「左様で御座いますか…」
櫻井も気付いてるんでしょう?
これだけあからさまな反応をすれば気付いて当然だわ。
ポーカーフェイス気取るのも疲れちゃった。
ポーカーフェイスでさえ見破る櫻井なんだから気付いて当たり前。
とは言え、櫻井は私の心に必要以上に、況してや土足でなんて踏み込んではこない。
それは櫻井なりの優しさなのかも知れない。
でも、もし私に救いの手を伸べてくれるならば、私は傷を見て見ぬ振りをされるよりは触れてくれた方がまだマシ。
何て言葉をかければいいのか分からないんだと思う。
でも、別に無理矢理痛みに耐える私に「少し我慢して下さいね?」って傷口に薬を塗ってほしい、と言ってる訳じゃない。
そこまでは望んでいない。
上手く言葉では言い表せないけど…兎に角見て見ぬ振りをされるのは嫌なの。
椎梛「今日は独りで行くわ。帰りは…お願いしようかしら」
櫻井「畏まりました」
気分屋でごめんね?