☆ARS☆

□First Present
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椎梛「気を付け」

雅「はい?」

椎梛「気を付け!」

雅「こぉ?」


座ったまま手を体の横にピシッと伸ばした。


「そのままねー」と言いながらまた立ち上がった椎梛は俺の後ろに回った。


雅「椎梛?」

椎梛「気を付けってば!」

雅「あ、ハイ、ゴメンナサイ」


何で俺は叱られてんだ?


椎梛「よいしょっと」


俺の後ろに座った椎梛は、俺の横に両脚を伸ばして、後ろから腕ごと抱き締められた。


雅「ちょっ…」

椎梛「これなら動けないでしょ」


キツく締め付けられてる訳じゃないのに、動けない。


椎梛「ね?もう動けない」


異常に距離が近い。


喋る度に息が首に掛かる。


椎梛「ヤケ酒はダメ」

雅「…はい」

椎梛「暴飲暴食もダメ」

雅「…はい」

椎梛「…隙見せんのもダメ」

雅「…はい………はい?」


振り向いたら思ったより顔が近くにあって吃驚した。


雅「最後、何て?」

椎梛「す・き」

雅「それは…どっち?」

椎梛「私が彼氏作らない理由、要らないって言う理由、教えてほしい?」

雅「別に…」

椎梛「じゃあ教えてあげる」

雅「話聞いてた?」

椎梛「彼氏は雅紀がいいからだよ」

雅「えっ?」


「何で気付かないかなー」って言いながら後ろから抱き締めた俺の体を左右に揺らす。


他にも何か言っていたけど、内容が全然入ってこなかった。





…椎梛が俺を彼氏にしたい?


はぁ?



いやいやいや。


高校生とかで「幼馴染みのアナタの事がずっと好きだの」ってのは分かるけどさ、今日で31歳だよ?


あ、余りにも長過ぎない?


31年間ずっと一緒に…

まぁ、高校卒業してからは週1くらいしか会わなくなったから厳密にはずっとじゃないけど。

ほぼ31年間一緒に居たんだよ?


それで…今?


もっと何か無かったの?












雅「…椎梛」

椎梛「ん?」←わくわく






























雅「…わくわくしてるところ悪いんだけど、ちょっとストップ。左右に揺らし過ぎ。気持ち悪くなってきた」

椎梛「あ、ごめん(汗)」
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