☆ARS☆
□甘い誕生日
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約束通りケーキを買いに来た。
ショートケーキを2つ、チョコレートケーキは3つ、ベリータルトに至っては5つ。
結構な量を購入した。
潤「パーティーか何かするんですか?」
「いえ、何て言うか…その…差し入れ?ですかね?」
彼女は俺に笑いかけた。
不覚にも、ドキッとした。
「また来ますね?」
この人は恐らく、本当に来る。
潤「……もう迷子にはなりませんか?」
「なりません!///」
潤「冗談です(笑)」
頬を少し紅潮させて怒る彼女が不謹慎にも可愛く思えた。
………なーんて。
とっくに自分で気付いている。
俺は彼女が好きだ。
あれだ、あれ。
ヒトメボレってヤツ。
俺に限って一目惚れなんて事は無いだろ〜、なんて考えてたのに、まさかね?
一目惚れ、するもんだ。
「では、また」
満面の笑みで店を出た彼女。
彼女の言った“また”は早い。
彼女は翌日にまた現れたのだった。
潤「荒谷椎梛ちゃんか…」
店の片付けをしながら彼女、椎梛ちゃんとの会話を思い出す。
俺とは同い年で、同じ血液型で…
すごく親近感が湧いた。
店を手伝ってくれる心優しい子。
今日1日で随分と椎梛ちゃんに近付けた気がする。
同時にどんどん好きになっていくのが自分でも分かる。
…今思うと、道案内をした時から近付きたかったのかも知れない。
それから椎梛ちゃんはほぼ毎日ここを訪れるようになった。