いつも君の側で

□目覚めと出逢い
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此処は何処?

知らない場所
記憶にない風景

私は…誰?

何で私は此処に居るのだろう?
名前が思い出せない

何でそんな目で見るの?

歪んだ表情
畏怖を孕み離れて行く

痛い…

頭や顔に固いモノが当たる
じんわりと熱い何かが頬を伝う

苦しい…

私、何かしたの?
悪い事したの?


誰か教えて…

誰か…


不意に頭上に影がさし、ぱさりと頭に軽い重みがかかる
何だろうと見上げると私と同じくらいの男の子が前に立塞がっていた


「大丈夫、僕に任せて」


怒気を含んだ声に何かを投げていた誰かは「ひっ」と悲鳴を上げて後退し逃げて行った


「長居は出来無さそうだね。もし良かったら僕達と旅に出ない?」


右も左も分からない場所よりも、彼と一緒に居た方がいい
そんな気がして小さく頷いた


記憶のない私を助けてくれた彼は自らを「ロディ」と教えてくれた
そしてロディが私を連れて来たのを見たお爺さんは優しい微笑みを浮かべて、一緒に旅をさせてくれる事を承諾してくれた
お爺さんの名前は「ゼペット」というらしい
だけど私には名前が見つからない
身につけている物に名前は無いかと探していると腰に携えていた短く少し重い物をゼペットに渡した。
私じゃソレが何か分からない。
けど何か書かれている
一瞬驚いたような表情をしたゼペットは「成る程成る程」と頷いて私の頭を撫でてくれた


「君の名前は名無しさんだよ。大事にこの小刀を持っていなさい」


返されたソレと教えてくれた名前に「名無しさん…」と呟く
ソレがただ嬉しくて何度も「名無しさん」「名無しさん」と繰り返した


「ろでぃ!わたし名無しさんっていうんだって!」


顔いっぱいに笑顔を浮かべてロディに抱きつくと、彼も「良かったね名無しさん」と頭を撫でてくれた


「うん!!ろでぃとぜぺっとに感謝!!!」
「〜っ!!??」


何故かロディの体が不規則に震えだして私は首を傾げているとゼペットさんが寶かに笑った


「ほっほっほっほ、その時はな名無しさん、ありがとう と言うんじゃよ?」

「ありがとうって言うの?分かった!ろでぃとぜぺっとにありがとう!!」


此処から私の人生は始まった
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