居候する事になりました
□一日目
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ああ、目覚めの朝は気持ち良い。何時も仕事の為に早く寝て早く起きるのが私の生活リズム
うん。
今日も良い天気…そう、とっても良い天気…
「………此処は何処だ………」
ひきつる口許もそのままに、窓から見える町並みを見下ろしながら愕然としていた
何故って?
私が乗っていた便は山奥が終着駅で、私が住んでる場所もそこ。
なのに目覚めたら知らない家のベッドで寝ていて、さらに山とは正反対の海が見えている
思わず鞄の中に入れてた切符を確認したけど切符に間違いは無い
うっかり乗り込む便を間違えた?それとも酔って寝ていたら拐われた?
あ、いや待て。拐うなら逃げられないよう色々物を没収している…筈だ。だから違う筈…
取り敢えず、上司に連絡を…と鞄から携帯を取り出すが圏外の文字。
此処は偏狭の町なのか?
見るからに滅茶苦茶発展しているように見えるのに携帯が通じないってどういう事なの?
ああ、そうだ地図!地図があるじゃないか。
道に迷ってる人の為に分かりやすく説明する為に常備しているソレが…!
深夜を出る便を辿って、走る場所を探してみようと指を滑らせてピタッと止まる。
おかしいな…そもそも山奥に行く便が最後の便だから…
そもそも乗り間違える理由が無い。
「どういう事なの…」
「おはようございます碧様。御加減如何ですか?」
「うわっ!!??」
ガチャとドアが開いて顔を覗かせた長身男性に度肝を抜かれた
白生地のシャツに淡い紫色のネクタイ、黒いズボンを履いている此の男性、はたと記憶にある顔見知りを思い辿ってみるがこんな人知り合いに居ない
「あぁ、恐れながら警察手帳を拝見させて頂いたので名前の方は知っているだけですよ。
終着駅で起こそうとしたのですが…なかなか目覚める気配が無く。連絡先に電話しても繋がらなかったので、仕方無く私達の家にお連れ致しました」
「………つまり、駅員の方…?」
「はい」
あっさりと肯定されて、思わず頭を抱えた
申し訳ないって気持ちと羞恥に値する恥ずかしい部分を見られてしまった
穴があったら入りたい。今すぐ入りたい!
取り敢えず、にっこり作った笑顔でひとつ会釈してその場に正座し指三本揃え勢い良く頭を下げた
「何かすみませんでした!!」
「まし!?頭をお上げ下さいまし!そんな事をさせる為に連れてきた訳では無いんですよ!?」
「いえ、御無礼を働くような考えをしてしまった自分への戒めです。お気になさらず」
「と言われましても私としては居心地が悪いですから!」
「ノボリ兄さんどうしたの?…あ碧ちゃん起きたんだ!」
ひょこっとドアから頭を出して此方を見た男性が一人駆け寄ってきた。
あれ?目の前にいる人と瓜二つって双子?
その新たに来た男性の後から宙に浮く銀色の歯車と、青い炎を出してるシャンデリア。更に絶滅した筈の巨大な牙をもつ竜が此方を見ている
何これ、何処かのドッキリ?
ビシッと固まった私に彼等は少し首を傾げて、私の視線の先を見るなり、また首を傾げた
「ギギギアル、シャンデラ、オノノクスがどうかした?」
「もしかして、ですが。ポケモンを見るのは初めてで御座いますか?」
「………」
固まったまま小刻みに頷き返すと、二人は互いに目を合わせて「もしかして」「もしかするかもしれませんね」と意見が合致したらしい
申し訳ないけど、詳細を教えてください
未知なる遭遇が大過ぎて頭が追いつかないです!
「とすると、此から大変そうだね碧ちゃん」
「そろそろ朝食を摂らねば遅刻しますね、碧様もご一緒に如何ですか?」
酒で満たされていた筈の胃は空腹を訴えている
だけど、見ず知らずの人にこれ以上お世話になる訳にはいかない
「大丈夫です。食事しながらで良いのでお話だけ聞かせて下さい」
そう言って、また深く、深ーく頭を下げた
[礼儀正しく美しく]
誤字訂正13/07/28