odai
□ごめん
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出会いは偶然訪れるもの
渡り鳥。そしてトレジャーハンターとして遺跡の捜索と宝の回収をして生計を立てていた私と出会ったのは、ザックという男
剣の腕はあり、一匹の亜精霊と共に旅をしていた
別に深い意味はない。だが興味があっただけで話もした事がなくて、遠くから見ているだけだった
再び会った時には仲間を増やして旅をしていて
何処か思い詰めていた目も消えていた
旅の仲間が彼を救ったのか時の経過と共に癒えたのか分からない
「ザック、彼女が見てるけど知り合い?」
青い髪の青年がザックに話題を振ると、此方に気付いた彼が首を傾げて見ている
嗚呼、だって知らないものね
話をした事も無いんだから
亜精霊の鼠さんは私の事を知っているようにしているけど
視線を外し、町の外に出る
すると亜精霊の鼠さんが後を着いてきて声をあげた
「名無しさんさん…だよね!?此はザックからの手紙だよ。旅、気を付けてね」
置いていかれた手紙
慌てて書いた殴り書きで僅かに綴られた言葉には"ごめん。頑張れよ"の八文字
何を頑張れと言うのだろうか…?
込み上げる笑みを浮かべて、南へ向かう
この思いは一方通行。
だからまた、出会えるのを信じるわ