女王は嗤う

□見えた翼は
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……ら、ぐったりするエレンと相変わらずの死んだ目でこちらを見るリヴァイ。

そして商会のボスや各兵団の責任者達がみな面白い顔をこちらに向けた。




『……リヴァイ、あんた何したの』

「躾だ」

『やめてよ。もし何かの拍子で巨人化したらどーすんの。…エレン?大丈夫?』


かなり酷くやられていて、身体中血まみれになっていた。

成長途中の少年になんて事すんだこのオッサン…!!!



「…てめぇ、今くだらねぇ事思っただろ」

『別にぃ。…エレン、すぐ終わらせるからね。もう少し頑張って』



取り敢えず声をかけ、場の視線を一身に浴びながらザックレー総統の隣へ向かう。


あ、アルミンとあの時の女の子…ってすげぇ顔してんな。怖い。



「随分と派手な登場だな。あそこの扉は被告人用なんだが…」

『あはは、今回だけ大目に見て下さいよ。それよりも、遅れてすいませんでした。続きをお願いします』



若くして電撃昇進した私の事をあまりよろしく思っていない人は多い。

特に、ずーっと心臓を捧げて来た年配の人達には。実力社会なんだから仕方ないじゃんか、そう思う反面、こんな時でも自分の地位を気にする連中に呆れる。


だからザックレー総統は貴重な人物だ。

あの人の判断基準がブレる事はない。相手や周りが誰であろうと公平な審判を下してくれる。パラパラと書記が書き留めていたノートに目を通しながら、心の中でそんな事を思う。



「話を戻そうか。…それで?いざとなればリヴァイが対処すると言う話だが…出来るのかリヴァイ?」

「殺す事に関して言えば間違いなく。問題はむしろ、その中間が無いことにある」



内容は理解したけど…何かもう、色々めんどくせぇな…。


巨人化したエレンの動きを見ても、リヴァイや私以外の兵士にどうする事も出来ないのは解ってる筈。なら調査兵団に一任すれば良い話なのに。



…ああ、違うか。



結局は自分が生き残るのに障害となるモノを消したいだけなのか。



…誰も絶対安全だと、証明する事は出来ないのに。





「議論は尽くされたようだな。ここで決めさせてもらおうか…」

「お待ち下さい!…エルヴィン、一つ聞きたい。内地の問題はどうするつもりだ!」



憲兵団師団長のナイルは静かに声を張る。それでも、エルヴィンは至って冷静に答えた。



「我々の壁外での活動が人類の安定から成り立っているのも理解している。決して内地の問題を軽視してはいない。…そこで提案があります」



こちらに身体を向けるエルヴィン。


私は彼の思う様にするつもりだ。どんな事でも、必ず実行に移してみせよう。






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