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□しのぶれど
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身分違いの恋愛ってのはなかなか思うものがあるよねぇ。
この乱世の先の未来には、身分っていう壁も性別って壁も超えて愛しあえることが出来たら、って…
「さすけー!おーい佐助ぇー!!!」
「何旦那?」
「某の褌………お前、何かあったか?」
「(褌の話からイキナリなんだよ…)いや?なんにもないけど?」
「…いや、某の思い過ごしなら良いのだ。ただ、お主が人間らしくなった、と言うべきか。以前は表では飄々としつつも本心は人を人と見ぬ…恐れをも感じさせるものがあった。」
「今は、そうじゃないって?」
「いや、今も変わらず忍隊の長として黒々としたものがある。…しかし、何かが違うのだ。お前が忍だからといって封じ込めていた『感情』を某は感じるのだ。」
「……」
「それは決して悪いことではないと思うのだ。忍だからといって無理に己を殺すでない。今でもお前は立派な忍だ。」
あ、勿論鍛錬を怠るではないぞ!と笑う旦那。
旦那の言うことが思い当たる節が俺様にないわけではなかった。
俺様は独眼竜、伊達政宗に密かに思いを寄せている。のかどうかは未だに自分ではわからないのだが、そう、今旦那に言われて思った。
そう、俺様は忍。独眼竜は一国の主。身分、性別、所属軍…決して結ばれない、結ばれてはならない恋。
誰にも知られてはならない。
「佐助?聞いておるのか?」
「…旦那、俺様は俺様だ。今までと何も変わっちゃいない、あんたはあんたの事を考えてろ…な?」
そう、誰にも気付かれてはならない。
ーしのぶれど 色に出にけり我が恋は
ものや思ふと 人の問ふまでー