main

□魔法鏡
1ページ/2ページ

ーもう少しだけ この瞼にのってて

いつだってそう、映るのは1人だけー


俺の目は政宗しか見えてない。
政宗の声は聞こえるのに俺の声は聞こえてなくて。
ねぇ、どれだけ大きな声で話せばあんたにこの声が届くの?
でっかいアンプに繋いだらあんたのその鼓膜は震えてくれるの?


今日も鏡の中の俺は泣きそうな顔をして、

「泣きたいのに泣けぬなら笑えばいい」と。

そんな鏡の中の俺に思いっきり笑顔をつくって学校へ向かう。



なんだかとても歌いたいくらい泣けてきた。





はよ、って政宗が言う。
おはよ、って俺も返す。
好きだよ、って俺が言う。
俺も、って政宗が言う。




そんな風景が開店前のカフェのガラスに映った気がした。


もしかしてさ、あの時の鏡の
泣き出しそうな顔したあの俺は。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ