*book*

□▽とある休日の甘い二人の時間**
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「......奏多、起きて。朝だよ」




日曜日の朝。二人揃うのは珍しい。
毎朝早い彼は日曜日も仕事のことが多い。
私も私で日曜日早朝の仕事が入ることが多い。



「奏多」と口に出してみたはいいものなんだが、やはり慣れない。
もともと人の名前を呼び捨てにすることが滅多にない私だ。
今まではずっと「くん」をつけて呼んでいたのだが、つい先日「いい加減呼び捨てで呼べば良いのに」と苦笑されてしまったので仕方なく呼び捨てにしたのであった。


いや、けして呼び捨てが嫌というわけではないのだ。
ただやはり慣れない。なんだろう。違和感を感じる。
ふとテレビに目をやると今日の天気予報がやっている。



「今日は寒くなりそうだな。」



お昼から新作の洋服を見にショッピングに出かけようと思っていたんだがなー。
まあ、車を出してもらえばいいか。



「......ん。真綾」

「奏多....遅いわよ。もう8時過ぎよ」

「真綾は早起きだよなー」

「奏多がお寝坊さんなだけだと思うけど。」

「真綾」

「......なあに?」

「今日の朝ご飯.....シチュー?」

「ん。そうそう。今日は寒いみたいだからシチュー作ってみたの」

「........玉ねぎ。石けんで洗ってないよね?」

「あ、ら、っ、て、な、い、わ、よwwwwwwwwww」



そういえば高校時代のとき、こうやってネタにされたっけ。
なんだか懐かしく感じる。
あの頃とやっぱり変わらないな。この人は。なんて思い出して笑いそうになる。

「真綾料理下手くそだもんなーww」

「いつの時代の話をしてるんですかー。怒りますよー。」

「うそうそ。ごめんってw」


そう言うと彼は私の髪をくしゃっと撫でた。
相変わらず大きな彼の手。やっぱり変わらない。でもそんな無邪気な彼が私は好きなのだ。


「......ねえ、」

「どうしたの真綾」


「ううん。なんでもない。」


私はにっこりと微笑む。本当は「やっぱり呼び捨ては慣れないんだけど」と言おうと思ってたんだけどやめた。どうせ「真綾はガキだもんなー」と馬鹿にされてしまう。
それがなんだかちょっぴり悔しいのだ。
今日は珈琲にしよう。いつもは紅茶なんだけどちょっぴりイタズラしたくなったのだ。



「.....奏多はお砂糖二つよね。」

「今日は三つが良い!!!」

「子供なんだからーww」

「真綾は変なとことで大人ぶるからなーwww」

「大人ぶってなんかいませんーwwww大人なんですーww」

「ガキのくせにーwwwwほんとは苦いの嫌いなくせにww」

「何言ってんのよーww苦いところが美味しいんでしょまったく。」

「苦いとこ、ねえ。」

「な、.....なによ」

「.........真綾も苦いよね。」


そう言うと彼はイタズラっぽく笑った。やっぱり彼には勝てない。





「........奏多の変態。」

「変態はどっちだよwwww中古品wwwww」

「おまwww新品だっつってんだろwwwwwwwwwww」

「ふうん…じゃあ、確かめてあげようか。」




私の手からコーヒーカップを奪うと静かに机の上に置いた。
なにも入っていない私のコーヒーと砂糖の入った彼の甘いコーヒー。
ふわりと漂うコーヒーの香りと寝起きの彼の匂いに包まれる。
ああ、もう。冷めちゃうじゃない....。
なんてことを考えながらも私は彼の舌に自分の舌を絡めた。
甘い甘い珈琲が私の感覚を狂わせる。今日は休日なのに....、と微笑みながら目を閉じた。












とある休日の甘い二人の時間。
▽苦いコーヒーと甘い甘い角砂糖












▽あとがき***
すんませんでしたーーーーーーー(土下座)このサイトを作る時にタイトル何にしようかなーって考えてたんだけどさ!!!!!!!苦い珈琲と甘い角砂糖ってなんかえろくね????なんか素敵じゃね??みたいな私のクズ的思考をもとにできたのがタイトル兼このお話です(大声)

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