佳月

□解語の花
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 花が咲き乱れる公園、日差しを浴び気に木陰ができる。


 時刻を確かめる花時計の近くのベンチに、花柄のワンピースに、ボレロを羽織った小動物を思わせる小柄の少女が大きなバスケットを持って座っていた。


 頬を赤く染めながらそわそわと誰かを探すようにする少女は可愛らしく、初デートに早く来すぎてしまった彼女のような初々しさがある。


 優しげな風貌の少年の姿を目に入れると少女の瞳は輝きだした。


 インテリ系美形の古典的とも言える、黒髪に銀縁眼鏡の少年は彼女に駆け寄り、一言二言話すと、少女はリンゴのような顔になりながら少年に手を差し出した。


 少年が少女のもつバスケットをさりげなく持ち、小さな手を握る。


 二人はゆっくりと公園を周ってゆく、時々二人で顔を合わせ笑い合いながら、傍から見れば理想のカップルだ。


「あの、今日、お弁当を作ったんです。シートも持ってきたので、木陰で食べませんか?」


 少女の一言に少年は微笑んで、


「ありがとう。だから今日は荷物が多かったんだね」


 ぼふっと音を立ってキューと呻く、少女に愛しげな視線を送りながら、テキパキと準備をしていく。


「うぅ、私が準備するはずだったのに」


 涙目で自己嫌悪に陥っている彼女に、


「お弁当を作ってくれた君に、準備まで僕がさせるわけ無いでしょ」


 ふわふわした栗色の髪を撫でながら、おでこに口付けを落とす。


 涙目の少女の目尻にもキスをすると、赤くなりながらも少女が少年の頬に桜色の唇を近づける。


 軽いリップ音とぽすんと少年の胸に少女の顔を隠すように抱きついた。


 甘い雰囲気が流れる中、二人はデートを楽しむのだった。





 〜恋人同士のデート〜




 
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