novel0.5
□#6 アフターヌーン・タイム
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『アフターヌーン・ティータイム』
白い丸の中。
キレイな、濃いオレンジと茶色の間みたいな色。
お茶の葉っぱの香り。
ストレートティーは好きだけど、あたしは甘い方がもっと大好き。
紅茶に白い砂を。
もう、溶けて見えない。
これだけで、甘くなるんだから、不思議。
紅茶に白い液体を。
まだ、溶けても混ざらない。
ティースプーンで、ぐるぐる、ぐるぐる、
時計回りに従って、ミルクは紅茶をクリーム色に変えた。
これだけで、柔らかい味になるんだから、不思議。
出来上がったミルクティーを見つめて、ふとあたしの世話係だと云う「彼」を思い出した。
あの人、白くて白くて、翠の瞳だけに色を持っていて、冷たくて――
思わず、息を止めてしまう。
…お礼を言ったりしたいのになぁ……
そうだ!
このお砂糖みたいに、
ミルクみたいに、
ミルクティーみたいに!
「彼」を甘く柔らかくする「何か」があるかも!
ガタン! と立ち上がると、テーブルが揺れて、カップの中のミルクティーも波を立てた。
きっと、今日こそ、彼とお話しできる
そんな気がして、あたしはまだその「何か」がなんなのか解っていないのに、
壁の時計を見て、早く彼が来ないかな、なんて待ちこがれていた。
(お砂糖とミルクと解決法)
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