novel0.5

□#7 SUNSET
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「何を見ている」

「あ、ウルキオラさん」



虚圏の夕方。

織姫の様子を見ようと部屋を訪れたウルキオラ。

ドアを開くと、窓の下に織姫が立っていた。



「夕日、見てるんです」

「…夕日?」

織姫は、高い窓を指した。


鉄格子が区切る壁を切り取った枠の中、
オレンジ色に染まった空が見える。

「キレイでしょ?

…虚圏でも、夕日が見れるんですね」

「――藍染様が、お造りになったものだ」


ウルキオラの言葉に、織姫は少し悲しそうに目を伏せた。

「あたし、キレイだと思います…」


小さな声に、ウルキオラは織姫の伏せた目に視線を落とした。

窓から射し込む、オレンジ色の光線。

織姫の陽色の髪を、より眩しく鮮やかに照らしている。


「――同じ色だ」

「えっ?」

「お前の髪だ。

…お前が美しいと言う夕日の色と同じ色だ」


茶と灰の混じった瞳をまばたきさせ、織姫はウルキオラの言った言葉を反芻させていた。

「えっと…」

「藍染様のお造りになった日の光、お前は美しいと言っただろう」

「はい…」

「お前も、同じだということだ」

「えっ?!…」


それって…
と口を開いた織姫。

「次は、夕食を運んでくる時にまた来る」


背を向けて、扉へと歩き出すウルキオラ。


「――それまで、夕陽を見ていろ」



窓の下に立ち尽くした織姫は、彼が出ていった扉がオレンジ色に染まっているのを、
同じ色に照らされて見つめていた。





『SUNSET』




(あれって、褒めてくれたのかなぁ…)





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