novel0.5
□#3 SUNRISE
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『SUNRISE』
この世界に来たあの日。
夜だったのか、
昼だったのか、
朝だったのか、
眠る前に、部屋の窓から見えた外の景色。
真っ暗で、でも、青白いお月さまがあった。
月があって、微かに瞬く星も見えて。
それで、夜があるということが分かった。
でも、『朝』が来なければ。
『夜』も『朝』も『昼』もなくて。
ずっと、そんな名前と光の無い時間の流れの中で、暮らしていかなければならないなんて。
そんな不安が、眠りに落ちるまで頭の中でグルグル、グルグル…
今。
ふと目覚めて、ソファーの上から、部屋の中を見渡してみる。
うっすらと、白い壁。
――月のように、青白く光って見えた。
ただ、壁が白く光っているのは、お月さまが照らしているからじゃなくて。
窓から射し込む、暖かな光の束。
「あ、朝――」
そう、呟いた。
この世界に来て、初めての日、眠って何時間か後に見た、この世界の朝陽。
それを見て、『朝がある』のだと、分かった。
朝が来る、のだと分かった。
どんどん、強くなる朝日の光。
「現世とは、ちょっと違う、のかな」
部屋の中が、『夜』眠る前の、ほの暗い白さではなく、ハッキリとした白さを、壁に浮かび上がらせ始めた。
(はやく早く、もっとたくさん朝日をください)
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