星の少女
□6.悪意との対面
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アレルヤが独房に入って早一週間。
重力ブロックの件を終えトレミーに帰還した2人だが、何故か共に命令に反した筈のミラはお咎めなしという不平等な結果になった。
CBにおいて重要な役割を担うミラを裁くに値する人物がいないというのもそうだが、ヴェーダが彼女の独房入りを良しとしなかったのが大きな理由だ。
(ごめんなさい、アレルヤ…)
ミラは1人閉じ込められたアレルヤに申し訳なさを感じずにはいられない。
やっと、同じ立場の仲間として打ち解け始めてきたのに…
「ミラ様…何故あのようなことを…」
アレルヤの独房へ向かう途中、ティエリアが不満そうに尋ねる。
ミラは表情を変えずにサラリと答えた。
「CBの行動目的が武力介入だけではないことを示す絶好のチャンスでしたから。それにああしなくてもアレルヤは今頃、自ら独房入りを望んだでしょう」
人の命を見捨てた自分に絶望して。
つまり、結果は変わらなかったということだ。
それに当初の目的だった人革連の新型MSの性能調査についても問題なく完了している。
「しかし………ガンダムマイスターは何よりも作戦の遂行を優先するべきです。今後は十分お気をつけて」
ティエリアに念押しされ、ミラはええと頷いた。
そうこうしているうちに独房に着いた。
アレルヤに会うのは一週間ぶりだ。
ティエリアがキーパネルに解除コードを入力し、閉ざされていたドアが開いた。
「やぁ…独房入りは終わりかい?」
アレルヤの声はやつれていた。
改めて「ごめんなさい」と心の中で謝る。
しかしティエリアは厳しい面持ちでアレルヤを冷ややかに見る。
「その様子だと、とても反省しているようには見えないな」
「そうだね………」
「………」
俯き、少しだけ微笑んで返答するアレルヤになんと言えばいいかわからない。
アレルヤはこちらを見て「大丈夫」とでも言うように穏やかな表情を浮かべた。
「アレルヤ・ハプティズム、君はガンダムマイスターに相応しくない」
ティエリアの突然の宣告。
ミラはそこまで言わなくても…と心中で溜め息をつく。
だって、私も同じことをしたのですから。
「…キュリオスから降ろす気かい?」
「そうだ…………と言いたいところだが、そうはいかなくなった」
2人の会話にハッとして、口を挟める。
「アレルヤ、また忙しくなります」
今頃ミッションプランを組み立てているスメラギに代わり、ミラが説明する。
「モラリアの大統領がAEUの主要3ヶ国との極秘会談を行っているという情報が入りました」
「モラリア…………PMCか」
流石、読み込みが早い。
ティエリアも先程までの不機嫌な表情が消え、真剣に聞いている。
「私達に対する挑戦と受け取っていいでしょう」
CBと世界は互いに試し、試されているのかもしれない。
しかし、我々の力を見くびってもらっては困る。
「ハードなミッションになります。マイスター以外のクルーも地上に降りてバックアップに回るらしいです。アレルヤの謹慎は解除、各マイスターは出撃準備を」
「「了解」」
素早く独房を出ていく2人。
ミラは世界が急速に動いていることを実感し、世界の変革が始まりつつあることを知った。
「世界は終わり、そして始まる…」
意味深な言葉を残し、ミラはその場を後にした。