星の少女

□2.始動
1ページ/6ページ




「…以上が、私たちCBの最初のミッションよ」



――プトレマイオス ブリーフィングルーム――



1人の女性と5人のパイロットスーツ姿の人影が仄昏い部屋の中で、モニターの明かりに照らされて浮かび上がる。
女性…戦術予報士のスメラギ・李・ノリエガは、各自にミッションプランを提示し、不敵な笑みを口元に携える。

「私たちのお披露目舞台よ…ド派手にいきましょっ」

「「「「了解」」」」


パイロット達が一斉に廊下へと向かう。
ただ1人、紅のパイロットを除いて。



「さて、貴女はわかっていると思いますが…無茶はなさらないでくださいね。何かあったら全てが狂ってしまいます」


スメラギは目の前の小さなパイロットに、まるで頭が上がらないかのように恐る恐る忠告した。
紅のパイロットはヘルメットを被ったまま、小さくコクリと頷いた。

「わかっています。私は無傷で帰ってきますから。こんなところで敗れるなら、私が生まれてきた意味がないでしょう」

淡々と、感情のない無機質な声で話す紅いパイロット。
しかし、その声はまだ幼い少女のもの。
スメラギはその言葉に困ったように笑みを浮かべ、ではと続ける。

「貴女の健闘を祈らせていただきます…




ミラ・エスペランザ様…」




ミラと呼ばれた少女はヘルメットを外し、無表情のまま敬礼する。
腰より低い位置まであるクリーム色の柔らかな髪をしならせ、アメジストの深い輝きを持つ瞳で、スメラギをしかと見据える。


「様付けは必要ありません。私もガンダムマイスターの1人に過ぎないのですから」



そう言うと再びヘルメットを被り、彼女もまた廊下へと向かい、あの機体のもとへと急ぐ。
彼女の、特別なガンダムのもとに。





 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ