◆a la carte◆
□鳴かないホトトギス
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スッと膝をつき、襖を開ける。
「すーぱーじゅにあの皆様が参られました」
「んー」
「..........。」
一行の前には小姓の膝に頭を乗せ、桜桃を食べさせて貰っている信長がいた。
「蘭丸、もういっこ」
「でも...信長さん...あの....お客様が....」
「いーからいーから。ほら、もういっこ」
困る小姓の手を掴み、指ごと桜桃を口に咥えれば、あっ、と小さな声をあげた小姓の白い肌は一瞬で赤く染まる。
―何を見せられているんだろう―
信長と蘭丸を見た人間が必ず通る道。
それは世界を飛び回る絶対的アイドルである彼らも例外では無かった。
「ね...きゅひょな。オレたちも...する?」
「しない」
「即答!勃つ!」
明智は頭痛がした。
ようやく小姓の膝から離れた信長の前にはヒョクチェ、ドンへ、キュヒョン、ソンミン、ヒチョルと並んでいる。
落ち着いたのも束の間、すぱーんと襖が開き、ヒョクチェとドンへは思わず抱き合い文字通り飛び上がって驚いた。
「やぁ、信長。二度も約束を違えた挙げ句、ぼくを呼び出すとは一体どういうつもりだい」
「メンゴメンゴ〜」
「悪いなんて思ってないだろう。大石が迎えに来たから仕方なく出向いたけれど。なんか気に入らないねぇ」
「吉良さん、本当に申し訳ありません」
きら″と呼ばれた男とよく似た、先程まで信長に指を喰われていた、今は主君の斜め後ろに控える小姓が、綺麗に指をついて深々と頭を下げる。
「可愛い蘭丸に免じて今日のところは許すけど次は無いよ。首、貰うからね。信長」
「へいへい」
まるで聞く気のない信長と、そんな信長と対等にやり合うきら″を、ヒチョルは面白そうに交互に眺める。
圧倒的権力を持ち有無を言わせない威圧感を放つ信長と、おそらく身分の高い、誰にも屈しない強さを纏うやたら気位の高そうなきら″。
こいつらもアイドルやってるらしいし、俺なら良いFFが書ける、片側の口端を上げながらそう思った。
「はいはい、ちょっとごめんなさいよ。で、信長さん。お話と言うのは」
大石はヒチョルの視線から吉良を防御するために、2人の間に割って座る。
「おー、そうだった。俺が今日おまえらを呼んだのは他でもない。おまえらなら『ホトトギス鳴かなかったらどうする?』ってのを聞きたくてさ」
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