奏音―カノン―
□奏音―カノン― B
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なんでキュヒョンという男が自分に構うのか分からない
ただ、異国の地で出会った
いや、出会ったというよりも単にスレ違った程度のことで
確かに偶然助けて貰いはしたけれど…
もっと分からないのは自分だ
なんでこんな所で、こんな風に温かいお風呂の中にいるのか
小さいけれど、安全が確保されている一人きりのスペースでソンミンは考えていた。
キュヒョンの戸惑いの分かる目と、震える手、緊張に満ちた声、その様子にそれ以上抵抗することが出来ず、連れられるままにキュヒョンが泊まるホテルへと来た。
「バスルームはそっち。飲み物とかはここにあるから後は適当に。とにかく身体温めて今夜はここで」
そうぶっきらぼうに言うとキュヒョンは、目線を合わせることもなくさっさとベッドへ入り、その先のソンミンの言葉を拒絶するようにイヤホンを耳に押し込んでしまった。
どうしたものか
そう迷ったけれど、襲われた時の男たちの手の感触が気持ち悪かったのと、破れた服のせいで曝された肌が冷えきっていたのもあって、ソンミンはキュヒョンに従うことにした。
それにしたって、人一倍、他人に警戒しているはずの自分がこうやってなんの関係もない男の部屋に…
分からない
ひとつ、大きく息を吐くとソンミンは頭までバスタブに潜り込んだ。
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