§hanchul§
□Merry U
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季節は初夏を迎えようとしていた。
それでも夜になれば少し冷える。
今週末はヒチョルがこちらへ来ているため、俺は家路を急いだ。
_____早く逢いたい______
今までとは違い
あれからお互い時間が出来ると通い合い
何度も逢っているのに
逢いたい気持ちは落ち着くどころか大きくなっていくばかりだ。
『ただいま』
リビングのドアを開けると
ヒチョルは片腕を背もたれの後ろに回し、伸び伸びとした体勢でソファーに座りテレビを見ていた。
綺麗な横顔、長い手足、纏うオーラでさえ独特の色を持っている。
それはまるで自分の魅力や美しさ、己を良く知り、自信に満ち溢れた
気高い獣のようでもあるし
すべてが平伏す女神のようでもあって
俺はしばらく見とれていた。
「あ、お帰り!なんだよ、何じっと見てんだよ。笑」
そんな俺に気付くと座り直し笑顔を向けた。
『ヒチョルは本当に綺麗だなぁと思って』
「おまっ!なんだよ!急に」
先ほどまで有無を言わさぬ美しさを携えていたのに
今は伸びていた四肢を縮こめ、顔を赤らめて目を逸らしている。
ヒチョルの魅力は留まることを知らない。
『ねぇ、そういえばまた女の子に酷いこと言ったんだって?ヒョクからメール来たよ。笑』
「ヒョクから?!アイツ本当にお喋りだな!アレは…」
赤らめた顔で俺の頬にお帰りのキスをしながら続ける。
「“オッパのことを最高に愛してる”って言うから…分かる!俺も俺を最高に愛してる!って言っただけ。酷くない。事実だ」
『へ?』
「俺が一番愛してるお前だ。そのお前が一番愛してるのは俺だろ?
だから俺は俺を最高に愛してる」
…分かるような、分からないような……
宇宙レベルな思考を持つヒチョルに
その女の子はきっと傷付くというより拍子抜けしたろうし、何が起きたか分からないって感じだっただろう。
そのシーンが容易に想像出来て思わず噴き出してしまった。
「そんなことより…」
ヒチョルは今度は膝を抱え神妙な顔で更に続けた。
「おいハンギョン…俺にプロポーズしろ」
俺は飲んでいたコーヒーを落としそうになった。