珈琲屋 ヒニム

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「あの・・・何かお飲み物お持ちしますね。何がいいですか?良かったらこの前のお詫びもあるしスイーツも何か・・。まだ手、痛みます?」



遠慮がちに声を掛けられ、ハッとして正面を向くとソンミンさんがスイーツメニューを胸に抱えて俺を見ていた。






「あ、はい!え、と・・・アイス・・カフェラテを」


「今日はキャラメルマキアートじゃないんですね」




ニッコリと微笑むカウンター越しのソンミンさんに、自分の耳まで赤くなるのが分かる。



胸元に抱えるメニューの端を掴む手が、やっぱり袖に半分隠れていて




・・・もうワザとだろ、それ

そうとしか考えられない

可愛いを知ってる確信犯だ、絶対








「じゃ・・じゃあスイーツは今日のオススメを・・」



辛うじて聞こえるくらいしか出なかった声で呟いた俺に

「はい、かしこまりました」

と、ソンミンさんは大きなリボンを揺らしながら奥へと消えて行った。















カランカラン


今日も絶妙に美味い食べ物に満足して、カフェラテを堪能しているとドアベルが鳴るのが聞こえた。






「ヒチョラ〜、回覧板持って来たよー」


ドアから入って来たのは明るい栗色のサラサラした髪の男。





「おー、どうせ読まねぇから次へ回しとけ」


ヒニムが見向きもせずに言う。






「あ、ジョンスヒョン。こんにちは」


「あぁ、ソンミナ。こんにちは。シウォナも。さっきはありがとな。後であっちの店に届けとくから」



僕が後で見て回しますから、と言って受け取るソンミンさんに

まったくねぇ、と慣れた様子で渡す栗毛

きっと毎回のことなんだろうと、なんとなく眺めていた。












「おーそういや、ジョンス。お前んトコの花束で、そこに座ってるひょろっとした生意気そうな兄ちゃんがケガしたってよ」








――はっ?!



いきなり話を振られ、カフェラテを噴き出しそうになる俺



「いや、あの、」


「え?!ほんと?!ちょっと見せて!俺もヨンウンもちゃんと見たつもりだったんだけど・・・痛い?うわー、ごめんねぇ」







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