珈琲屋 ヒニム
□#2
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―――?!
ひょ、ひょん?!
ひょん、だって?!
ソンミンさん、このデカイ彫刻みたいな人より歳上?!
マジで?!
「わっ!血が出てる!ちょっと待って下さいね!」
カウンターの下からゴソゴソと取り出した薬箱を開け、
「痛いですか?」
そう言ってフーフーと息を吹き掛けながら消毒をしてくれるソンミンさんに、驚きと照れが交互にやってくる。
「おい。お前、なに鼻の下伸ばしながら鳩が豆鉄砲食らったみてぇな顔してんだよ。器用な奴だな」
「イヤ、だってこのソンミンさんがさっきの彫刻みたいな人より歳上ってありえな・・・って、、、ヒ、ヒニム!!」
軽くウェーブの掛かった少し長めの髪、前髪を上げてピンで留めているヒニムが、今日も偉そうに声を掛けて来た。
――しかしキレイな顔だな
ムカつくけど
「あれ?お前、この前の・・」
「あぁ!ヒチョリヒョンが失礼しちゃった方だ!良かった!また来てくれたんですね!!」
「オイ、失礼ってなんだ。俺はなんもしてねぇ」
毒々しい花の横で、可憐な花が綻んでいる
うん、そんな感じ
「君、うちのお客様だったんだね。本当に重ね重ね失礼をしてしまって・・」
上品そうな彫刻みたいな人が申し訳無さそうに眉を下げる。
「だからなんもしてねぇって!なんだよ、シウォナ。お前の知り合いか?」
「いえ、そこであなたに買った花束を彼にぶつけてしまって」
えっ
しかもこの花束、ヒニムのか!
うわ、ツイてない・・・
「今日も綺麗ですね。愛してます」
大きな花束をヒニムに差し出すギリシャ彫刻
なんか・・・そこだけ別世界みたいだ・・・
あ、あ、あ、愛してますって・・・・
「毎回毎回いらねーっつってんだろ。花なんか。女じゃあるまいし」
「隣の花屋さんにあっちの店の花を頼みに行ったら、ヨンウンさんが素敵な花が入ったって・・・」
きっとこのギリシャ彫刻はヒニムのことが本当に好きなんだろう
困ったように笑うデカイ彫刻がやけに可愛く見えた
「バカか、お前。毎回そうやって騙されやがって」
「でも美しいものに囲まれるのは嫌いじゃないでしょう?」
ヒニムは無造作に花束をカウンターに置くと、これまた無造作にコーヒーを淹れ、彫刻の前にガシャっと置いた。
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