暗部のモブ
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「急にすまないね」
「いえ」
早朝かかった四代目からの招集。私一人を呼び出したという事は、聞かれるのはカカシの事だろう。
「その後、どうかな?カカシとの生活は」
「自宅より此方に泊まる回数が増えました。しかし、四代目──」
「うん?」
「やはり私では、」
「無理だ」そう言い切りそうになった私が思い浮かべたのは、苦痛に歪んだ寝顔。話に聞いてはいても当事者では無い、むしろただの同僚である私にはどうしてあげる事も出来ないのではないか。
「⋯うん。以前にも話したと思うけど、」
「⋯⋯」
「キミとカカシは境遇が似てるんだ。でもキミは、長く暗部に身を置きながらその優しさと明るさを失っていない」
「⋯」
「なにもカカシを変えて欲しい訳じゃないんだよ。ただ⋯彼は一人でいるといつか闇に飲まれてしまう⋯キミには無理を言ってしまうけど、カカシの傍で彼を此方に引き留めておいて欲しい」
出来るのだろうか。私に。初めこそ戸惑いが勝れど過ごす時間が増える度、私の中に彼を守りたいという気持ちが芽生えた事も変わらぬ事実としてここにある。
「それにね」
「⋯?」
「あの年頃の男の子は、年上の女性に弱いんだ」
人差し指を口に当て、俗にいうウィンクと共に放たれた四代目の言葉に、危うく吹き出しそうになるのをなんとか堪えて平静を装った。が、肩が震えてしまったのは見逃して頂こう。
「──まして、それが自分を救ってくれた女性なら尚更さ」
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