暗部のモブ
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「⋯」
3日振りにエイさんが里に戻ったと聞いて、任務後すぐにその部屋へ向かった。
「──いた⋯」
開いた扉の奥には確かに明かりが灯っているのに、肝心の人の姿が見えない。気配のする方へと顔を覗かせれば、オレの布団を枕に寝ているエイさんを見付けて、ほっとすると同時に自分の顔が緩むのがわかった。
「風邪引きますよ⋯」
小さく猫の様に丸くなっている背に手を当てて、起こす気もない声をそっと耳元へ掛ければ、覚醒しきれていない表情で「おかえり」と、幼く見える笑顔を見せてくれるアナタを見る度、オレの中にある感情が揺さぶられている事を、じわじわと自覚していくんだ。
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