Feeling Kill

□小さなきっかけ
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「前から野崎さんの事が気になってて…その、君のことが好きなんだ!俺と付き合って下さい!!」


「え、と…」


ここは学校の屋上。
私は今1人の男子生徒に告白されている


だが、彼女は相手が誰なのか何一つ分からなかった

当たり前だ。興味がないのだから


「ごめんなさい。私、アナタのことよく分からないし…その、誰かと付き合うっていうのも考えた事なかったから」


やんわりと断った。勿論、笑顔で


「…そっか」


葵の返答に肩を沈めながら男子生徒は屋上から去って行った


「……」


男子生徒が去った後。
葵の表情は無へと変わった


「『君のことが好きなんだ!』か……フフッ」


彼女は笑った
先程とは違う冷たい笑みで


「馬鹿。本当に人間って愚かな生き物…私のことが好き?私のこと何も知らないくせに」


所詮、彼は笑顔という偽りを纏った私が好きなのだ。
本当の私ではない

私が作り上げた“一般の人間の理想像”に恋をしただけなのだ


「…セルティさんに会いたい」


この町で出会った人外の異形の姿を葵は思い出していた。


――――――――
―――――

「ねぇ、野崎さん…ちょっといい?」


放課後。葵はある女子生徒によって家路を邪魔されていた


「何ですか?」


「アンタさ…直希くんに告白されて断ったんだって?」


文句有りげに葵を睨む女子生徒

直希…あぁ、昼の奴のことか
てことは、この人はその直希っていう人間が好きなのか
なら、何故私が睨まれる?
ただの逆恨みなんて御免だ。


「直希くんだけじゃない。最近他の男子とかにも告白されて断ってるらしいじゃない!ちょっとさ…調子乗ってるんじゃない?!」


コイツは最高に馬鹿だ。


「……別に私は付き合う気がないから断っただけ。皆と付き合って何股とかかけてるわけじゃないし、アナタの好きな人と付き合ってるわけじゃないじゃない…なら問題ないんじゃないの?」


「煩い!だいたい私はアンタが嫌いなの!いつも笑顔で男子とか先生とかに媚び売って……気持ちが悪いのよ!!」


単なる僻みではないか

つくづく女子生徒の馬鹿さ加減に葵は溜息を洩らした


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