リクエスト品

□余所見してんなよ
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その日の晩、電話が掛かって来た。
「はいもしもし」
「銀時。テメェそこで何してやがる?
今日は一緒に呑む約束だったろうが」
受話器の先で土方の苛立った声が聞こえて来る。
大方いつまで待っても俺が来ないから痺れを切らして電話して来たんだろう。
それを解っていてわざとしらばっくれた。
「ああ、今日だったっけ?
わりぃ勘違いしてたわ。
明日だと思って寝てた。
今から準備すっから…」
「もう良い。
今日は一人で呑んで来る。
テメェは寝てろ」
土方の呆れたような声がして通話が切れた。
「…………ハァ」
受話器を置いてその場にへたり込む。
ガシガシと頭を掻いてまた溜め息が出た。
怒らせちまったな。
こんな当て付けみてぇな事したって全然楽しくなんてねぇ。
やっぱりちゃんと謝りに行こうか。
くだらねぇ意地張ってもあいつを無駄に怒らせるだけだしな。
うん、そうしよう。
そう決めて立ち上がった。
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