放浪記っ!

□疾風と雪
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「おうぅうぅ……さむい」


あぁこんな時はうつさんのとこのもふもふ白虎が恋しい

もふもふぅとあの感触を思い出す

今度またうつさんに会ったら一頭譲ってもらえないだろうか……ないと思うけど

フラフラと歩きながら、ハァと息を吐きながら不意に昔の主の事が頭に浮かんだ

寒いから一緒に寝ようーやら昼寝するから膝枕しろーやら、昔は散々こき使われてたっけ


「……もう……居ないけど」


こんな寒い夜は、時々こうやって思い出してしまう




「ん?」



ヒラリ、と何かが上から落ちてきて、雪華は足を止めた

手を伸ばすと、それはヒラヒラと不規則に落ちながら静かに雪華の手のひらに乗った


「……羽?」


それは黒い羽だった

烏?……でも音なんて聞こえなかったけど…

どこから降ってきたのかと見上げると同時に、音もなく兜を目深く被った男が雪華の前に立っていた



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