放浪記っ!

□蒼色の期待はずれ
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結局その後、
めんどくさいのでそのまま再び奥州まで連れ帰られました



「おうふっ……」



悪い意味でとても見覚えのある部屋に通された
すっごく居心地悪いです


よく見ると、あの時蹴り飛ばして壊してしまった襖は、しっかりと治っていた




「あの片倉さん…襖ごめんなさい」

「気にするな、あれは政宗様にも非があったしな」


……ならなんでもっと早くその政宗様を止めてくれなかったんだ


「なっ…小十郎だって止めなかっただろ!?」

「そうです、政宗さんが悪いです」





…………ハッ
いかんいかん、
なんか普通に和んじゃってる

来たら来たでのんびりしちゃうんだよなぁ
うぬ……不思議……ってダメだ!
自分は小田原に行かなきゃなんないのに!




「言っておきますけど本っ当に少しだけですからね」

「おう」

「まぁ居られるだけゆっくりしていけばいい」



…やっぱり片倉さん……常識人だ!
人は見た目で判断しちゃいけないってよく言うけど(ひどい)

会ってから今まで顔怖いなんて七回ぐらい思っちゃってごめんなさい、謝ります



「それに片倉さんじゃなくていいぞ」

「じゃあ…こ、小十郎さん……」


改まって呼ぶとなんか照れる





「雪華」

「な、なに」



自分を無視されて(したつもりはないけど)機嫌が悪いのか、政宗のじとっとした目に気付く



「警戒しなくても何もしねぇよ」

「当然。その時は全力で逃げる」



そう言えばまたぶすっとしながら、政宗は立ち上がって奥から黒い箱を手に、
ほら、と差し出してきた




「なに?これ」

「やるよ」



小十郎も止めないし、
べつに怪しいものというわけではないようだ

なんぞ……とそーっと開けてみると中には、





「ずんだ餅!!」

「食うか?」

「いただきます!」









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