東軍

□きっかけなんてそんなもの
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「……ふぅおっ」


びっくりしてつい変な声が出てしまった。


4時限目も終わり、これからお昼ご飯ということで
使っていたノートと教科書を机に仕舞おうと手を入れたら、
何だか覚えのない紙質がカサリと指に触れて、何だろうと手に取ってみるとそれは便箋だった



しかもご丁寧に雪華の名前入りだ

……これはその…ラブレターというものだろうか


生まれてこの方、そんなものを貰ったことがなかった雪華だが、
いやいやまさかぁー…と封を切ると、内容はやはり、ラブレターとしか捉えようのない愛の告白が綴られていた




「雪華?」



あまりに驚いてフリーズしてしまっている雪華に、家康は食わないのか?と大きな弁当を出しながらそう言った




「………雪華などに恋文を送るなど、よほどの物好きだな」

「わっ!」

「こ、恋文!?」



無関心にそう言った三成に、まさかラブレターか!?と家康は身体を乗り出した

というか勝手に見るなばか三成!




「ふん、別に貴様に宛てた恋文など興味ない、見えるのだから仕方ないだろう」


声にはださなかったのに、言いたいことが分かったのか三成はそう鼻を鳴らした


……まぁたしかに見えてもしょうがないか



雪華の席は窓際の1番後ろ
そしてその隣は三成で前は家康だ


気付いたら毎日昼ご飯を一緒に食べるようなって、

今日もいつもと同じように雪華の席を中心に家康は自分の弁当を机に乗せ、
三成は少しだけ机を寄せる

つまり雪華が机の下で隠れてそれを読んでいても、家康からは死角で三成からは丸見えなのだ



「てか物好きってひどい!」

「そうだぞ三成、もっとソフトに包んでだな……」


……それ全然庇っていませんよ家康


「本当の事を言って何が悪い」

「このっ」



面倒だ、と自分の小さな弁当箱を開けた三成に、雪華は仕返しとばかりにミニトマトを奪ってやって、それを見ていた家康は笑った






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