東軍

□ひらひら、ふわり
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「さっむい」



ただでさえ、寒いのには慣れていないというのに
外は吹雪並みの大雪、鬼畜すぎる



「んな外ばっか見てっと風邪ひくぞ」



することもなく、ぼへーと外を眺めていた雪華に、政宗はそう言った


外はびっくりするほど白一色だ

しんしんと降り積もっていく雪は、周りの音を遮断して
いつもより政宗の声が通って聞こえた



「さーむーいー」

「雪華…お前忍だろ……」



一応、と取って付けた様に加えた政宗を、
思わず雪華はキッと睨んだ
なんぞ一応って




「これでも雪華はうるとらすーぱー忍ですー」

「あー…、ultraでsuperな」

「今バカにしたな!」




政宗の使う言葉は今一わからない
慣れぬ南蛮語を、いつかの政宗の見よう見まねで使ってみたものの

口に出してみれば意外と発音が難しくて、たどたどしくなってしまった



「あー…」


何もしていないからか、腹が鳴った
ぐぅーと空気を読まないで虚しく響いた腹の音にら政宗はぶっと吹き出した




「うわっ!失礼!ばか宗!」

「…前から思ってたけど、一国の主によくんな口利けるよな……あんま気にしねぇけど」

「だって今まで政宗をまともな城主さんとして見たことないもん」

「まじか」



……なんていうが、半分冗談

戦場で六爪を操る政宗を初めて見たとき、不覚にも見惚れてしまった

独眼竜、と称されるその実力はやはり確かだった

しかしそんなことは口にせず、肯定するように薄く笑うと、政宗もそれに釣られてふっと笑った




「今の変態くさい」

「……wait、とことん俺の扱いひでぇな」


そう言うと政宗は雪華の髪をぐしゃぐしゃとかき回した

これが俗に言うセクハラというものだろうか、




「あ、小十郎さん今居ないんだった」

「呼ぶなよ」


この吹雪で畑が心配だと言い、出て言ったのを思い出して雪華は深くため息をついた





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