西軍

□嫉妬的愛
2ページ/4ページ





待ちやがれ石田!と呼び止める政宗の声に、勿論三成が聞くはずもなく、

準備が出来たと三成に言うと、そうか、と言って三成はわたしの手を引いた


「へ?」


びっくりした

三成と手を繋いだ事がないわけではないのだが、それでもこんな人目の多い所でだなんて初めてだ

三成だって、あまり人の目がつくところでは良しとしない性格だというのにだ、


結局振り払う事など雪華にできるはずもなく、下校中に至ります。







「………」

「………」



無言程の拷問はないと思う

そっと三成の様子を窺うと、いつもの様にぶすっとしているのだが、やはりどこか怒っている




「……三成?」



いつもより、歩みの早い三成に悟らせるように
クイッと繋いだ手を引くと、三成は雪華を見て止まった




「みつ「噂が」



ぎゅっと眉を寄せる

知っている
……これは怒りなんかじゃなくて、悲しい時の顔だ





「家康と付き合っているという噂を耳にした」

「………三成が?」

「違う私じゃない!」

「いでっ」



額にチョップを喰らわされた
軽くなのかもしれないが、それでも地味に痛い




「言葉にするのも腹立たしいが……い、家康と雪華がだ」

「…ナニソレ」




心底許せない、
そんな噂を流した奴は斬滅してやる、と歯ぎしりする三成に

雪華はん?ん?と目をしばたたかせた


わたしが、徳川くんと、え?何で?
まったく意味がわからない




「………それで怒ってたの?」

「ふっ…不愉快になった」



じっと三成の目を見ながらそう問えば、三成はフイッと顔を背けながらそう言った

心なしか、三成の耳は赤い


「……ぷっ」

「なっ!!」



かわいい…
み、三成がかわいい……!!
もしかしてこれが有名なあれかな?



「つまり……嫉妬?」

「ち、ちが…わなくは……ないが………」




どんどんと声の小さくなっていく三成に、思わずきゅんっと胸が鳴った



こ、これは例えるならば、
いつもツンツンしてるにゃんこが、
部屋から出ようとするとにゃぁんと鳴きながらすりよって来るとき?みたいな





「よっと」






次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ